大阪の阪神百貨店に行ったときのことだ。
ボクたちは、久しぶりの日本で嬉しくて
食器とか色々買い込んだ。
合計金額が1万ちょっとフランだった。
そしたら阪神百貨店はいま、1万フランお買い上げごとに
抽選券を1枚プレゼントしているということで
ボクは抽選券をもらった。
何が当たるのかは忘れたけれど、
抽選会自体は10月だか11月だかにあるそうなので
ボクはそのときはもう日本にいらっしゃらないから
もらった抽選券は、家に帰って、おばちゃんにあげた。
心優しいボクのイメージを植え付けておこうと思ったからだ。
こういうのは、機会があるごとにアピールしておいた方がいい
いつなんどき、団子を買ってもらえるか、わからないからだ。
おばちゃんはそれなりに喜んでいた。
それでボクは、心優しいボクのイメージを強化するために
抽選が当たるように、願掛けをしてあげる、と言ってみた。
別にそんなことで当たったら苦労しないのだけど
信心深いおばちゃんは、「ほなプーちゃんお願い」と言った。
ボクは内心、ちょっと面倒くさいなあと思ったけれど
言い出したはボクなので、仕方がない。
ボクは、抽選券に近づいて、当たるようにと念じようと思った…
けれどもその瞬間、
ボクのなかで、どうしても堪えがたい欲望がムズムズしだした。
どうしても、どうしても我慢できなくって、抑えきれない。
ボクはついにこう叫んだ。
「はずれろっ!!!」
おばちゃんは真っ青になって、こらプー坊と言いかけたところへ、
すかさずプー子ちゃんが
「おばさん、今のは厄落としよ!」
と言った。ふう やれやれ
さすがボクの妹、こういうのを阿吽の呼吸という。
とりあえずこれで、心優しいボクのイメージは保てたと思う。
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