2013-09-26

プー子、地元野菜を求めて三千里

こんにちは、ビオのプー子です。




ボルドーに引越してきて、トゥールーズとの違いをいろいろ感じるけど、
とくに大きな関心事は、地元&ビオ野菜のこと。




トゥールーズでは、何の苦労もなく、地元野菜を買っていた。
地元の農家の人たちがやってくるマルシェが、沢山あったから。
火曜と土曜はキャピトルとプラス・デュ・サランで、
日曜日にはサントーバンのマルシェがあった。
たぶん、各地区には、もっと色々ある。
お肉も、ジェースとか近場のお肉が簡単に買えたし、
ワインもチーズも地元のものがふんだんにあったから
大体、半径100〜150キロ以内で取れたものを食べていた。
その気になれば、完全な地産地消もできたと思う。

プー子たちは、ビオにはあまりこだわっていないけども、
(環境のことを考えるとビオの方がいいのはわかっているけども)
地元というのにこだわっていた。だって安くて美味しいのだもの。
地元生産だと、輸送費がかからない。
たいてい生産者から買うから、手数料もかからない。
それでいて新鮮で美味しいのだから、プー子たちは地元野菜大好き。
で、そういう地元野菜は、最近の流行だか、南仏の流行だか知らないけど
たいてい、ビオ(有機栽培)か、レゾネ(無農薬?栽培)だった。
結果的にビオを食べていたってわけ。
(なので、スーパーで売ってるビオ野菜にはあまり興味がない。
それからたまに行くトゥールーズ近郊の田舎では
さらに新鮮で安い野菜があるので嬉しい)


と!こ!ろ!が!
ボルドーに来てみると、マルシェはあるけれども地元の生産じゃない!!
モロッコのトマトとか、スペインのなすびとか、ちょっとおっちゃん、遠いねん!
大きなマルシェにいっても、ビオは1店か2店で、とても高い。
そもそも売っている人が、生産者じゃない。
ボルドーに長く住んでいる人に訊いても、
「野菜?スーパーで買うんじゃないの?
え、ビオ?スーパーにもあるじゃん」
って言われて、なんだかなあ。












たまにトゥールーズに帰って、地元野菜を食べると
レタスはシャキシャキして、インゲンはしっかり味があって、
トウモロコシは生で食べられるほど甘くって、
ラディッシュは辛くって歯ごたえがあって、ああこれが野菜の味なんだと思った。
やっぱり野菜ってのは、こうでなくっちゃ。
去ってみてわかったけど、プー子たちは、きっと、とても贅沢な食生活をしていたのだ…

プー子が思うに、トゥールーズの人の気質は、多かれ少なかれヒッピー的だ。
政治的にも左が多くて、人々のあいだに見えない連帯がある。
「オラたち、大企業に虐げられたって、決してへこたれねえべよ!
仲間と一緒になって、お上に一泡吹かせてやらあ!
おう、オメェも一緒に来るべか!
何かあったら、オラっちに言えよ!オメェ独りじゃねえぞ!」って感じかしら。
それで田舎とか自然への愛好が強くて、
「ピレネーの近くに住んでるんだずら」「ええなあ」
「そこでビオ野菜さ作ってるべよ」「そら最高だべ、ゼンだべなあ」てな具合。
下手したら、肩組んでイマジンを歌いだしそう。
おわかりいただけるかしらん、このヒッピー感。
プー子は、地元野菜への愛着は、このヒッピー感のひとつの現れと思う。

でもボルドーには、今のところ、みじんもヒッピーらしさを感じない。
土の匂いなんて全然感じないし(海の匂いは感じるけど)
窓から見える家々の中庭にも、家庭栽培は皆無。
街中にも、ビオ食材をうたったレストランは見かけない。


(ボルドーの
白い家と黒い家)


別に人々の気質の違いは違いとして受け入れるけれども、
ただひとつ寂しいのは、野菜…
パリで地元野菜が見つからないのは、仕方ないと思う。
そもそもパリの地元でとれる野菜なんて限られてるから。
だけどもボルドーの近くには、アジャンとか、それなりに農家の街がある。
ただボルドーで需要がないから買えないのだとしたら、とても残念だ。
もう、あんなにおいしい野菜は
トゥールーズに帰ったときしか食べられないのかしらん…



と、思っていたら!
プー子は独自の情報網を張り巡らして、ついに発見した。
地元のビオ野菜が買える場所を!!!

しかもびっくり仰天、あっと驚くため五郎。
小規模映画を上映している映画館チェーン、ユートピアの一室で、
毎週水曜日、夜な夜な地元野菜の受け取りが行われているというのだ…

システムはこう。
毎月最終水曜日に、翌月分の注文をする。
その後は各水曜日に、ユートピアまで野菜を取りにいく。

プー子たちが、それを知ったのが昨日で、なんと偶然にも、月の最終水曜日だった。
プー子は早速、現場に侵入した。



これがボルドーのユートピア。古い教会を改築したらしい。
カフェにはビオのコカコーラ(!)が売ってあって、否が応でも期待が高まる。
といってもプー子はそんな変なコーラは飲まなかったけど。




ユートピアの狭い螺旋階段をあがっていく…
と、狭い廊下に受付カウンター、そしてその奥の暗い部屋に人だかり。
大きなパニエ(籠)を持った人たちがひしめいていて、妙に熱気に満ちている!
とっても暗い部屋は、人だらけで、ステンドグラスの光が少しだけあったのか
豆電球が少しだけ付いていたのか、とにかく暗かったし、閉め切った感じがあった。
所狭しと野菜がならんでいて、レタスとかカボチャとかイチジクが並んでいた。
みんな、籠を手にさげて、自分の籠に野菜を入れてもらうのを待っている。
あまりに暗いので、もしかしたら人身売買も行われているかもしれない。
たぶん、お兄ちゃんやエセル卿は来ない方がいい。

プー子は、このちょっとアングラな雰囲気に少なからず興奮した。
この人たちは、毎週水曜日、パニエを片手に、
B級映画館の暗い一室に集まって野菜を買ってるんだ!!!
プー子もやりたい!!

そこで早速プー子は、受付のお姉さんに事情を説明して、
来月分の野菜とパンを頼むことにした。
来月の後半はトゥールーズに帰る予定なので、
とりあえず最初の3週間を頼んだ。
野菜は1週間で、12ユーロ。
見たところ、人間の一人暮らしには少し多い量かもしれない。
パンは色々あったけど、一番スタンダードなカンパーニュパンを頼んだ。
このパンは、プー子のために焼かれるわけだ、わくわく。

数々の困難を乗り越えながらも、着実に地元野菜へ近づくプー子たち!
来週の水曜が楽しみ!ドキドキ!

2013-09-18

ボクとモンレジョ城の秋の一般公開

こないだの土日は、文化遺産の日ということで、
普段は公開されていない文化遺産が公開された。
フランス版の秋の一般公開、といったところだ。

ボクたちは、最近トゥールーズとボルドーのあいだを
行ったり来たりしているけれども、日曜はちょうど
トゥールーズからサンゴーダンスに行っていたので
Monréjeau(モンレジョ)という山の近くの街にある、男爵のお城に行った。

ボルドーは毎日通り雨があって、曇っていたけど
トゥールーズは毎日晴れていた。
モンレジョは晴れていたけど、ちょっと肌寒かった。
やっぱり山に近いんだな。


これが男爵のお城

とにかく大きい。
男爵というのは爵位でいうと
一番低いのだけども、
ここの男爵は一財産を築いた人らしく
大きな大きなお城だった。






写真を撮り忘れたけれども、まず入り口からお城までの道が長い。
よく映画や漫画で、門からお城まで車で移動しなきゃいけない、
という表現が出て来るけれども、まさにそう。
湖の横を通って、巨大な並木道を歩いていく。
途中に、お城ほどではないけれども、十分大きな家があった。
ミカちゃんたちは、お城は住むには大きすぎるので、
この大きな家ぐらいでちょうどいいかもしれない、と話していたけど
近づいたら、なんとそれは巨大な馬小屋だった。

馬小屋に住みたいだなんて、野心がなさすぎるぜ。
ボクはやっぱりお城の方に住みたいな。



お城の庭、
裏手にはピレネー山脈が広がる。

ボクたちの第十五の故郷
St.Bertrand de Commingeも見えた。






このお城には、今でも人が住んでいるらしい。
ということは、文化遺産に指定されたというだけで、
1年に1回自宅を公開しなきゃいけないわけだ。
それを聞いて、ボクは、やっぱりお城にも住みたくないと思った。



お庭には、例のフランス式の
角張った植木があった。

ボクは、これの良さがわからない。
ただ、緑と青のコントラストが
爽快だなあと思う。





「また見つかった… 何が?
永遠! 緑の大地と連なる山空の蒼…!」

詩人のボクは、つぶやく。



ところでこの写真の奥に見える山は、人の顔が仰向けになっているように見える。
うまい角度からみると、ちゃんと顎まで見える。
鼻の部分は、通称「ナポレオンの鼻」と呼ばれている山です。

ボクはいつか、鼻の部分まで登っていって
オナラをしたいと思っている。

2013-09-16

ボク、ボルドーに住み始める。

こんにちは、ボクです。

夏休みのことを書こうと思ったけど、
9月からボクたちはボルドーに引越してきたので
ボルドーの街のことを書くことにする。

ボクたちは、ボルドーのなかでもコザッパリとした地区に住んでいる。
日本式にいう4階に住んでいて、窓からは、家々の中庭と、
その奥に大きな公園が見える。ブルジョワな公園で、
パリのリュクサンブール公園みたいだ。


寝室からの眺め
この手すり、
人間にはいいけれども
プー族には危険だ。
手すりの隙間から落っこちそうになる。








どこかの中庭におバカな犬がいるようで、
時々思い出したように、ワンワン吠えたり、遠吠えしたりしているのが聞こえる。
たぶん、あの犬は飼い主にあまり構ってもらえなくて、寂しいのだと思う。
ボクは、ちょっとかわいそうだなと思うけれども、
やっぱりうるさいので、バカだなあと思う。




これは、窓から見える朝焼け

あの二つのとんがりは、
どこの教会だろうか
窓からはいつも見えるけど
まだ歩いて見つけには行ってない


ボルドーの街は、石造りの建物が並んでいる。
まるで「小さなパリ」といったところで、
パリに対抗意識を燃やしているトゥールーズとはだいぶ違う。
街行く人も、訛ってないし、石田純一みたいな格好の人が多い。
それから観光客も多い。ワインのせいかなと思う。






それから
その昔、イギリス領だったせいか
パブや紅茶の店も多い。











ボルドーの旧市街は世界遺産に登録されているそうで、なるほど綺麗だ。
だけどもこれには秘密があるのを、ボクは知っている。









今から50年ほどまえ、ボルドーの街は寂しい街だったそうだ。
古い石造りの建物が黒ずんで、どんよりしていたそうだ。
そこで、街を挙げて建物をピカピカにした。
そしたら石造りの壁が再び乳白色に輝きだして、明るい今の外観になったそうだ。
今でも、洗い残しの黒い家をたまに見かける。
中心地から離れていくにつれて、黒い家をよく見かける。
ボクは、黒い家を見つけるのが、あら探しをしているみたいで、楽しい。




一番大きな黒い建物は、なんと街中のサンタンドレ大聖堂です。
隣の塔と比べると、まるでチェスの白サイドと黒サイドだ。