2013-12-30

プー子、フランスでスキーする

こんばんは、プー子です。
プー子は、ただいまクリスマスのバカンスを満喫中。

クリスマスはトゥールーズで過ごした。
トゥールーズのライトアップは去年と同じ、綺麗です。

「クリスマスおめでとう」というフレーズは日本語として座りが悪いと思う。
なぜなら、何がおめでたいかよくわからないからだ。
それで「メリークリスマス」のほうがよく言われているのだけど、
12月25日がイエスの誕生日でないことは文献学上からも明々白々の事実なので
メリークリスマスって何ていう意味なのかなあ、と思う。
美味しいものたくさん食べてね!ていう意味なのかなあ。
お兄ちゃんに訊いたけど、お兄ちゃんは曹洞宗の送料なので、
クリスマスのことは、わからないらしい。
とにかくプー子たちは、24日の夜はミラノ風仔牛のカツレツを
25日のお昼は豚フィレのビール煮込みを食べました。
ちょっと手の込んだスペシャルな料理を食べるのが、クリスマスってものらしい。



恋人がサンタクロース、だと色々厄介。



クリスマスが過ぎると、膨れ上がった風船が破裂したように、
のんびりした日々がやってくる。
プー子は、年々、このクリスマス後の冬のほうが好きになってきている。

先週末は、エミリーのご両親のおうちにお泊りさせてもらった。
静かな田舎で、プー族は日頃のご公務から開放され、ゆっくり羽根を伸ばした。













そして今日、30日、プー子は、ピレネーに日帰りスキーに行った。
お兄ちゃんは、昔はモーグルの第一人者だったのだけども、
最近は怪我をしてはいけないということで、お留守番だった。
プー子はダウンヒルとジャンプが得意、フランスで初めてのスキー!
ダンサーのアズサさんとユウタさんと一緒に行った。

最初は車で行こうかとも言っていたけど、結局、電車で行くことにした。


朝の7時半、
まだ暗いトゥールーズの駅を出た。









スキー場のふもとの駅まで、2時間弱。
そのあいだ、続々とフランス人たちが電車の中でスキーウェアに着替えていった。
なかには、トゥールーズの駅から完全装備だった強者もいた。

そして終点、Ax les thermesの駅についたころ、
プー子の周りはみーんな、スキーウェア…

あとでわかったけれども、スキー場には更衣室がなかった。
ロッカーも少ししかなかった。
だから、電車で行く日帰りの人たちは、最小限の荷物しかもっていきたくないのだ!
スキー場では、少なからぬ人が小さなリュックを背負って滑っていた。
プー子は、日本のいたれりつくせりのスキー場しか知らなかったので、
ちょっとカルチャーショックでした。

でもこのスキー場、何よりもびっくりしたのは、
とにかく山の中にある巨大スキー場だったということ。
リフトを乗り継いで、奥の奥まで進んでいったけど、まださらにスキー場があった。
その頃には、365度どこを見渡しても、ピレネーの山、山、山。
日本とは、全然、規模が違う!!

今は学校のバカンスなので人が多かったけど、
それでも滑るところはたくさんあった。


上のほうでは、
全方位、こんな景色だった。


標高2200メートルでございまーす

奥にギザギザしている山は
いかにもヨーロッパの山の形だ。

なだらかな日本の山とは
一味も二味も違う。






スキーとスノーボードは、8:2ぐらいで、スキーのほうが断然多かった。


ゲレンデのカフェテラスで
滑るプー子に釘付け。
プロの選手もコーチも出る幕がないわ。
ホッホッホ








でもまあ、プー子のみたところ、雪が重たかったので、
人工雪も混ざっていたと思う。
電車の駅からスキー場の登り口までは、ほとんど雪が積もっていなかったし。
1月や2月にもっと積もるのかな。

帰りは本当は、雪山を見上げながら露天風呂に入りたかったけど、
フランスではそうもいかないので、バーでビールを飲んだ。


とにかくフランスで初めてのスキーは、驚きの連続だったけれども
やっぱり雪にエッジをきかせて滑るのは、たまらなく楽しかったです。
これで、プー子は、よい年を迎えられそうです。


追記:
スキー場では、コースの外を滑っている人を沢山みた。
あたかもコース外がコースであるかのようだった。
さすが、フランス人は、何ごとも、禁止されるとやりたくなるのだなあ、と思った。

プー子は、スキー場の定番ごはん、カレー&ラーメンが食べたかったけど、
やっぱりそれはなかったので、ゲレンデのテラスでサンドイッチを食べた。

2013-12-18

プー子とロミオとジュリエット

こんばんは、プー子です。

昨日の満月の晩、プー子は、ボルドーのオペラ座に行った。
バレエのロミオとジュリエットを観るためです。

ボルドーのオペラ座は、芸術監督がシャルル・ジュド、
そのむかしパリオペラ座で『牧神の午後』で一世を風靡したダンサーです。
ボルドーに就任してからずいぶん経つけど、
ずっとボルドーオペラ座のバレエのチケットは取りにくい。
プー子たちも、3ヶ月前から予約していた。


うちからオペラ座まで歩いて10分。
途中、クリスマスのマルシェを通ります。
プー子は、
フランスのクリスマスのマルシェは
トゥールーズとボルドーとパリのを
知っているけど、
どこも変なものばかり売ってる。

Tシャツとか革製品とか、
ぜんぜんクリスマスに関係ないものも
どさくさに紛れて売っている。




さてさて
オペラ座に到着。
満月です。


初めて中に入ったけれど、
石造りが上品な劇場でした。

クリスマスのせいか
イルミネーションがあって
ちょっとけばけばしかった。








バレエはとてもよかった。
オーケストラはたまに破綻していたけれど、音楽がプロコフィエフだから
もともとそういうハーモニーかしら、と思えば思えなくもない。
でも全体的にはよくまとまっていたし、よく聞かせていた。

踊りも、皆さんよく踊ってらした。
ジュリエットは、若くて、ひたむきで、感じ良かった。
そのぶん、ロミオはあんまり印象に残っていない。

よくあるマクミランの振付じゃなくて、
シャルル・ジュドの振付だというので、
プー子はてっきりみんな牧神の午後をしているのかと思ったけど、
蓋を開けてみれば、きわめてオーソドックスな振付だった。
これぐらいの変更なら、どうして変えたのかよくわからない。
唯一大きく替わっていたのがバルコニーのシーンで、
ここは、プー子は、マクミランの方が断然いいと思った。

まあこの作品は音楽勝ちなところがなきにしもあらずで、
あの重厚で、ときに切ない音楽に乗せられれば、
けっこう大体誰だってうまく魅せることができるのだ。

…と、まあ、色々ケチをつけてみたけれども、全体的にはよかったと思う。
プー子は、しっかり感動して、しっかりお話にひたって、
しっかり真珠の涙を流した。

少し前にみたウェスト・サイド・ストーリーも思い出したけど、
やっぱり『ロミオとジュリエット』のほうが、
精神的な深みがあって、格が違う。
若い二人が、恋にときめいて、ひたすら生き抜ける青春!
ウェスト・サイドのマリアは、最後に生き続けることを決めるけれども
それは近代的な脚色だ。プー子は、物語の筋としては、
最後に勢い余って二人死んじゃうほうが、まとまりがいいと思う。




それから、とっても珍しいことに、
ここの劇場は、劇場内での飲食禁止だった。
だから幕間のバーもなかった。
プー子は、シャンパンと一緒に歌舞伎弁当を食べたかったので、残念です。


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それから先週末は、
ボルドーのおいしいお魚屋さんに行った。
牡蠣とムール貝とタラを買ってもらった。

これは、本当においしかった。
やっぱりボルドーは海が近いから、
海産物が新鮮で、おいしい。


プー子は、初めて、
ボルドーに引越してよかったと思った。
またお魚を買ってもらおうと思う。

プー子がジュリエットなら、
お兄ちゃんはティボーで、
つまりジョージ・チャキリスかな。
I feel pretty!

2013-12-13

ボクと小鳥と、エセル卿の誕生日

こんばんは、ボクです。

数日前から、急に小鳥たちが来なくなった。
近所の公園でも、見かけなくなった。
ボクはお寂しい。

ボクは、小鳥たちが、ああ見えても、
集団的・社会的・宇宙的生活を送っているのを知っているので、
どうも何かよからぬ噂でも立てられているのではないかと思う。

あるいはもしかしたら、ボクが少し前に
チキンカレーを食べていたのを、見られたのかもしれない。

ボクが食べたのはニワトリで、小鳥じゃないのに!

「ボクは小鳥をたべませんよ」と書いた手紙を
瓶につめて川に流そうかと思っている。



最近、夜でも街が明るすぎるのがいけないのかもしれない。
冬用に、カシューナッツの脂も置いてみた。
ああ、戻ってきてほしいなあ。



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最近、プー族会議で、なかなか決まらない議題がある。
エセル卿の誕生日を決める、という議題だ。
エセル卿は、とっくの昔に、自分の誕生日を忘れてしまったらしい。
それで、ボクたちに決めてほしいと言っている。
だからボクたちはもうかれこれ46時間も審議しているのだけれども
まだ決着がつかない。

エセル卿は、ボクが1月2日、プー子ちゃんが11月12日、ボクが1月2日なので、
ボクたちのように、1と2のつく誕生日にしてほしいという。

だけども、そうすると1月、2月、11月、12月しかない。
でもこの4ヶ月は、もうボクたちの誕生日とかクリスマスとか
ケーキを食べる口実がたくさんある。
だからボクたちは、どうもあまりケーキを食べる口実の少ない頃で、
ケーキが傷みにくいように、あまり暑すぎない季節がいいと思うのだけど
なかなか、どの日を選んだらいいものか、決めるのが難しいです。

ボクはアプリコットが好きなので、初夏がいい。
プー子ちゃんはイチゴが好きなので、春がいいらしい。
ああ難しい。

夜歩きプー子ちゃん。
秋が深まるころは、プラームスの後期のピアノ作品とかを聴いて
それなりにしっとりした気持ちになっていたけど
クリスマスのライトアップが始まると気持ちも明るくなって
今はフランス組曲を聴いています。
ボクは5番が好きで、プー子ちゃんは2番が好きだ。
ボクの誕生日は1月2日です。

2013-12-08

ボクと光るボルドーの街

こんにちは、
日本では治安維持法が成立したらしいけど、
ボクはお元気です。

最近、小鳥たちの社会にも色々と複雑なことがあるらしい、ということがわかった。
アオガラは来てくれるけども、前よりうんと頻度が低くなった。
太ったシジュウカラがよくやってきていて、
たぶんウチはあのシジュウカラの縄張りになって居るのだと思う。
シジュウカラは、アオガラより二回りほど大きい。

ボクからしてみれば、そういうことが、空を自由に飛んでいるように見える
鳥の社会にもあるのだということが、面白い。
昨日と今日はぜんぜん鳥がこないけれども、たぶんそれも何かあるんだろう。
しばらくしたら、戻ってきてくれると思うけれども。


さてさて
今朝のボルドーは、霜がおりた。


屋根のうえが白いので
最初は雪かと思ったけど
どうやら霜らしい。

朝日と一緒にだんだん溶けていった。

それにしても寒くなったもんだと思う。



12月になって、街なかのイリュミネーションも、今が盛りだ。
せっかくの晴れた日曜日だし、ボクはクリスマス気分を味わおうと思って、外出された。


これはボルドーで有名な本屋、
モラの装飾です。

ボクはこの本屋さんが好きです。
ボクの本をたくさん
置いてくれているからです。





サンタンドレ大聖堂の前に
巨大なクリスマスツリーができていた。








日曜日は、本当ならお店は閉まっているのだけれど
最近のフランス人は商魂たくましくなったので、
クリスマス商戦がさかんな12月中は日曜日でも開いている店が多い。
今日もたくさんの人出だった。

ボクたちも、クリスマスの何かを買ってもらおうと思ったけれど
あまりに色々なものがあって、目が回ってどうも決まらなかった。
もうボクは、ボクが何がほしいのか、わからなくなって疲れてしまった。



気づけば夕暮れ。

最近は日が落ちるのが早いです。


大聖堂のクリスマスツリーが
光り始めた。

ステンドグラスと一緒に
綺麗です。

あれ松虫が
鳴いている
ジングルジングルジングルベル



あっという間に日は落ちた。


そういえば去年の今頃もボルドーに来たなあ。
あのときは、まさか1年後にボルドーに住むことになるなんて
思ってもみなかった。








去年は、おばちゃんが居たのだった。

こうやって1年めぐって同じ季節になって 
今はおばちゃんがいないと思うと、
ボクはなんとなくさみしい。
(と書いておいたら
あとで団子を送ってもらえるだろうか)
そうそう、ボクは、団子が好きです。

ボルドーで1番えらいホテル
グラン・トテル・ボルドーの飾り









今年はポワポワとした
円が浮かんでいる。
SFみたいだ。




去年の同じところの写真。



なんとなく12月はみんなソワソワしている。
ボクは毎年思うのだけれども、もっと落ち着いて1年を終えたい。
だからお家に帰って、ナット・キング・コールの歌うクリスマスソングをたっぷり聴いて
もうクリスマスは終わったことにした。
大体こんなに寒いのに外にでるのはもうごめんだ。

そうそう、11月の末に、おとなりさんが引っ越していった。
おとなりさんは静岡県出身の研究者だったのだけども
パリの研究所に引きぬかれたとかで、引っ越していった。
それでパリに持っていけない荷物をボクたちにたくさんくれた。
そのなかに、びっくりしたことに緑茶が3種類も入っていて、
どれも静岡のお茶で、どれも美味しくて
ボクは、あらためて、静岡県のお茶のレベルの高さを思った。
ボクたちは毎日、静岡のお茶を飲んでいます。

お茶すすり新しいおとなりさんは何をするひとぞ(字余り)

2013-12-03

プー子のお誕生日期間

12月になりました。プー子です。
プー子のために、クリスマスのイルミネーションが始まった。


11月は色々あって、慌ただしく過ぎて行った。
12月はのんびり過ごしたいと思うけど、
忘れないうちに、11月のことを書いておく。


11月はプー子のお誕生日が続いた。

お誕生日の朝は、窓をあけると、
毎年恒例ウィーンフィルが待機していて、
プー子のためにハッピーバースデーを演奏してくれた。







それから今年のケーキは、
ボルドー1おいしいと名高い
アントワーヌのお菓子を食べた。







アントワーヌのケーキは初めて食べたけれど、
バニラのケーキは、味が重くなくて、むしろあっさりしていた。
チーズケーキも、チーズの味がほのかに感じられるぐらいだった。
チョコレートケーキも、口に入れた瞬間は濃いように感じられたけど
そのあとはすうっと淡く消えていった。
シトロンのケーキは、甘酸っぱくて、プー子はとても気に入った。
カヌレは、これは可もなく不可もなくだった。
どれも全体としてのまとまりがよく考えられていて、
引き際をわきまえているお菓子だと思った。
おいしかった。プー子はまた食べたい。


お誕生日のプレゼントは、マフラーをもらった。
ボタンのかわいいマフラーです。



11月の後半、プー子のお誕生日期間中、
このマフラーをしめて、
お兄ちゃんと一緒にパリに行った。

目的は、ミカちゃんは、イナルコで研究会、
プー子はイナルコの隣のイナワシロコで研究会、
お兄ちゃんはお上りさんだった。


研究会が終わった翌日、
サクレクール寺院に行った。




ここは朝が気持ちいい。
お兄ちゃんが、昔「冬はつとめて」と書いたように
プー子は「サクレクールはつとめて」と書こう。

プー子は早起きが苦手なので、徹夜あけです。




サクレクールのあるモンマルトルは18区。
丘が多い。ムーランルージュもあって、
アメリのカフェもあって、それは観光的だけど、
小さな道はわりと静かです。


たまに見えるパリの街の景色が、プー子は気に入った。

お兄ちゃんは、壁男が気に入ったらしい。

エッフェル塔を見て、
エセル卿が、「エッセル卿」と言って、
ひとりで笑っていた。

プー子は、聞かなかったことにした。





毎回パリに行くと、パリ在住のお友達にあう。
それで、お友達お勧めのレストランに連れていってもらう。
それが大抵、びっくりするほどおいしい。
夏に食べたベトナム料理のフォーには、感激した。
フォーはこんなに美味しい食べ物なのかと開眼させられた。
今回は、ベルヴィルのタイ料理に連れていってもらった。
スパイスをたっぷりつめて煮込んだカレーが、
とおっても美味しくて、ほっぺが落ちるかと思った。
プー子はいまでもあのカレーを思い出す。
こういう食文化は、やっぱり都会の方が恵まれているなあと思った。
食い倒れ、パリ。


プー子の誕生日は、今年は、
ザ・タイガースの復活コンサートで幕を閉じた。
ザ・タイガースが5人そろってコンサートをするのは実に
プー子が女学生のとき以来で、プー子は、感慨深かった。

2013-11-11

ボクと渡り鳥の会議

こんにちは、ボクです。



ボクたちは、約10日間のトゥッサンのバカンスをトゥールーズで過ごした。
ボルドーに帰ってきたら、鳥の餌がもうなくなっていた。
さっそく補充したのだけれども、一体いつから餌がない状態が続いていたんだろう…
小鳥たちが戻ってきてくれるか、ボクはご心配だった。
バカンスが終わって1週間たった。
いまのところ、シジュウカラが2羽戻ってきた。
姿をちゃんと見たわけではないけど、たぶん、ロビンも来ている気がする。
だけど、一番最初にやってきてくれたアオガラが戻ってこない。
ボクは、ご心配だ…
アオガラちゃん、餌を補充したから帰ってきておくれ、って
ノロシをたてようかと思っている。


ボルドーの街は、すっかりクリスマスの支度にかかっている。
クリスマスのマルシェの丸太小屋も準備されている。

色づく街路樹。



カンコンスの並木も
だいぶ黄色い。



立冬もすぎたけれど、昨日、本当に冬がやってきたんだと思うことがあった。


昨日、ボクは
家の近くの公園を散歩していた。

木々は、すっかり秋色だった。



ここの公園は、川が流れていて、
落ち着いて、気持ちいい。
ちょっとニューヨークのセントラルパークみたいだ。

水鳥も多い。
これは、頭にこぶのあるガチョウ。




そしたら、ある樹に差し掛かったところで、
ものすごい音が聞こえてきた。

大量の鳥が、その樹のてっぺんらへんに集まって、会議していたのだ。



この樹の上にくっついてる
黒いものは、全部鳥です。

何の鳥かなあ、
たぶんムクドリの一種だと思うのだけど。

異常なくらい、けたたましかった。


アパートに帰ってきて、窓から公園のほうを見たら、さらに鳥の数が増えていた。
そういえば今日は朝から鳥がたくさん飛んでいたなあと思った。

プー子ちゃんが翻訳してくれたところによると、
南へ渡る段取りをつけているらしい。





なるほど渡り鳥の会議だったのだ。
それでうるさかったし、たぶん鬼気迫った感じがあったのも、
これから長い旅へと向けた鳥たちの気合のせいなんだと思う。





そうして見ていると、
どんどん雲行きがあやしくなって、
スコールみたいな通り雨が降った。
風も強かった。

ところが鳥たちは、風に吹かれて
雨にうたれながら、相変わらず
樹の高い位置にしがみついていた。

ボクは、鳥たちの気合を感じた。
それと同時に、ああ、本気で行ってしまうんだなあと思った。

通り雨が過ぎて、夕闇が届く前に、
鳥たちはいっせいに飛び立っていった。

鳥たちは、ボクも一緒に来るかと訊いたけれど、
ボクは、もぐらと結婚するわけでもないし、
ボルドーのアパートは暖房もしっかりついているので、
丁重にお断りした。

翌朝起きたら、空は、いつも通り、静かだった。
あの鳥たちは、今頃どこらへんを飛んでいるんだろう。

これで冬が本格的に到来するな、とボクはお思いになった。


ーーーーーーーーーー
今年は、ボクとプー子ちゃんとエセル卿で、
チャイコフスキーの秋の歌を弦楽三重奏で練習しようと思っている。
ボクは、この曲がとてもお好きだ。秋がやってくると必ず聴きたくなる。
現在の問題は、エセル卿が小さすぎてチェロに届かないことだ。
だけどボクはバイオリンを譲るつもりはないし、
プー子ちゃんに至っては、ギターがいいと言っている。

2013-11-07

プー子、ワインエキスポに行く

こんばんは、プー子です。
今週の大学は中間試験だそうですが、プー子には関係ありません。

先週末、トゥールーズでワインエキスポに行ったことを書く。
だいたい秋になると、フランス中で
ワイン展示会とか、物産展、特売会などがある。
まちなかのスーパーでもやっている。

今回プー子が行ったのは、特大ワイン物販会。
アルコールを飲まないお兄ちゃんは、お留守番。
プー子はそろそろ5歳なので、アルコールはオッケー。


仕組みはこう。
まず入り口で1ユーロのデポジットを支払ってワイングラスを買う。
そのグラスを持っていると、会場内の各ワインブースで試飲ができる。
試飲なので、ほーんの少しずつ。香りと味がわかれば十分というわけ。
もう要らないな、と思ったら、専用の入れ物に捨てる。


ワインブースは百以上、数え切れないほどあって、フランス各地から来ていた。
気に入ったら、1本とか箱入りとかで注文できる。
でもブースの目的は、なにより味を覚えてもらうため、ってのが大きい。
今日の一見さんより、未来のお得意さん、ってわけだ。

プー子たちはまず、トゥールーズのご近所、
サン・シニアンのとある生産者のブースで、赤ワインを3種類ほど試飲した。
ここは、クセのある重い赤で有名だ。けれどもプー子はどれも好きになれなかった。

そこで気分を変えて、次はブルゴーニュのブースで、白を4種類ほど試飲した。
これはどれも美味しかった。
魚介類と一緒に食べたらおいしいだろうな、という白があったので、
急に魚介類が食べたくなった。

実はワインブースのよこに、おつまみブースがある。
ワインブースはタダだけども、おつまみブースは有料です。


そこで
プー子たちは、
大西洋の特大牡蠣を食べに行った。
もちろん、白ワイン付き。
レモンを絞って、ちゅるっと食べた。
とっても美味しかった。

それからピエールおじさんは、
エスカルゴのカタランソースを買ってきた。

カタランソースは、ピリ辛のトマトソース。

プー子は、エスカルゴは食べられるつもりだったけど、実際に見てみると、おえーっ


殻を手でもって、爪楊枝で中をほじくるのだけれども、
その中身が、スルッと出てこなくて、
まず、びよーんと伸びてから、ちゅるっと飛び出る。いかにもナメクジ!
飛び出た中身は黒くてまだら模様で、
もう、なにもかも、とーってもグロテスクだった。
こんなもの、プー子食べらんない!

ピエールおじさんは美味しい美味しいといって食べていたけど、
プー子は、こんなものを食べるなんて、
その昔、フランスはよっぽどひどい食糧不足だったんだな、と思った。


その後は気分をとり直して、
ボルドーのソテルヌ畑の貴腐ワインを飲み、
アルザスの甘辛い上品な白ワインを飲み、
モンペリエ付近の香り高い白ワインを飲んだ。

プー子としては、アルザスのワインが、どれも奥深くて、ちょっとした発見だった。
南フランスにいるとアルザスワインは飲む機会が少ないので、
いろいろ飲んで、総じて美味しい、と思ったことがなかった。
これはとてもいい発見だ。
最近は、ルピアックとかソテルヌとかの貴腐ワインを飲むことが多いけど、
こういうワインは、最後の最後までまろやかな甘さが勝っている。
それはそれでデザートのように美味しいのだけど、
アルザスの、ベースは辛口ながら、ほのかな甘味をもったワインは、
より複雑で上品だった。
「ここでは、あなたの国より少しだけ人生が複雑なのよ」
とプー子はつぶやいてみた。

これからしばらく、アルザスワインを飲んでみようと思う。


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ところで、エスカルゴといえば。

毎週水曜日のビオ野菜には結構な確率で、
かたつむりやなめくじがついてくる。

お兄ちゃんやミカちゃんは怖がって
ガタピシうるさいけれど、
フランスでは、かたつむり付きの
葉っぱは美味しい、というのだ。

プー子はグルメ。

2013-10-31

プー子、ヴィシーでスパ三昧

こんにちは、
フランスの学校は、今週はバカンスです。
小中学校は、先週と今週の2週間の休み、大学は今週1週間の休みです。
一般企業の人たちは働いているみたいで、今は学校関係者が休んでいる。

それでプー子たちは、ヴィシーに連れていってもらった。
ヴィシーというのはフランスの中央部、クレルモンフェランの隣の温泉街です。

実は夏に、ミカちゃんが、
薬屋さんの創立ウン十周年のくじ引きで、スパの週末@ヴィシーをあてた。
それで、この秋休みの週末を予約していたのだ。

くじに含まれていたのは、
ヴィシーの5つ星スパホテル1泊、土曜の昼から日曜昼までの4回の食事、交通費、スパ入りたい放題、1時間45分のエステ。これ全部、プー族とエセル卿と、人間2人分。

ヴィシーまで、レンタカーで行った。
車で行くには、2つの行き方がある。
1つめは、ずーっと高速でいくBrive la Gaillarde経由のルート、
2つめは、Albiまで高速、そこから国道(Rodezを通ってSévérac le château)、高速にのる。距離としては、2の方が短い。
それで行きはルート2で行ったけど、やっぱり国道のところが時間かかったので、帰りはルート1だった。行きが5時間、帰りが4時間。

国道は、時間はかかったけど、とても気持ちよかった。
色々な村を抜けていくので、それぞれ家の建築様式が違って面白かった。
石の家の村もあったし、赤い屋根の村もあった。
丘が多くて、どの景色もびっくりするぐらい綺麗だった。


よくあるプラタナスの並木

車で通り抜けると
とっても気持ちよかった

途中で立ち寄った
ガソリンスタンドの横に
馬がいた。

小腹がすいたのでパン屋に入った。
パン屋さんは、タバコも売ってて、
まるでよろず屋さんだった。

お店の外は、いい空気だったけど
牛のフンの匂いがそこはかとなく漂って
いかにも田舎だった。

たまにお城が見えた。


風力発電の乱立する地域も通った。


道路の左側、
崖の上に家がある。

その向かい、崖の上に教会がある。

宇奈月でいえば、
祖父谷と祖母谷だ。

どういう経緯があったのだろう…


どの町にも必ず教会があった。
それから、家畜は、牛、馬を沢山みた。ヤギと羊もいた。ロバもいた。
そりゃあフランス国内はほとんどどこでもチーズの名産地なので、なるほどなあと思った。
プー子は、国道の方がうんと楽しかったし、
道が長くたって、プー子は疲れたら車の中で寝ればいいから
国道の方がよかった。帰りは高速道路だったのでつまんない。

ようやく辿り着いたヴィシーは、ちょっとモナコに似ていた。
つまり観光的ってこと。ヴィシーは有名な温泉地です。水も有名。

実は、今回泊まったホテルは、その水を売ってるブランドが経営しているらしい。
ホテルは水と同じ名前だったので、なあるほどと思った。
川沿いの大きな公園の中にあって、窓からはちょうど黄色くなった葉が見えた。

着いた日の午後。

お昼ご飯は、ホテルのテラスで食べた。
食事療法にのっとっているんだそうで、
味気なかった。
プー子は、もっと塩をかけたいと思った。
食べた3時間後にはお腹が減った。
頼りないなあ。
食事療法って、つまりは素食だ。

それから温泉水プールとサウナに入った。
実は、ホテルの建物と、スパの施設は別で、渡り廊下を通って行けることになっている。

スパ施設の中は、
みんな備え付けのバスローブで
徘徊していて、おかしかった。
プー族は、バスローブのサイズがなかったので、服のままうろうろした。


サウナのあとは
街に出て、ビールを飲んだ。

サウナで体がほこほこしているので、
外のテラスが気持ちよかった。
これこそ、ザ・バカンス
暑すぎず寒すぎない、
いい時期に行ったとおもう。


夜のお食事はホテルの中のレストランだったけど、
プー子はあまり美味しいと思わなかった。




翌朝、
プー子は寝ていたけれど、
小鳥マニアのお兄ちゃんは
公園を散歩したらしい。

小鳥が沢山いたそうだ。


そして日曜の朝はエステ。
まず、お肌診断をしてもらった。
プー子のお肌はちょっと乾燥気味らしい。
だけどエステのお姉さんが、プー子の顔には産毛が少ないといって驚いていた。
「プー族は毛深くないんです」と言っておいた。
お兄ちゃんの毛も短い。
プー子は、シワもシミも全然ない。

お兄ちゃんはホフク全身マッサージ、エセル卿は頭マッサージ。
プー子はうるおい美顔マッサージと痩身マッサージをしてもらった。

エステのときは個室に入って、紙のぴらぴらしたパンツを履かされる。
お風呂に浸りながら頭をもんでもらい、診察台に寝転がって体をもんでもらう。
お肌は、もう数えきれないくらいたくさんクリームを塗ってもらって、
お肌のうえで五目ご飯でも作ってるのかと思った。でも気持ちよかった。
最後にハーブティーを飲んだ。またプー子の女に磨きがかかっちゃうわ。

言い忘れたけど、ヴィシーというのは化粧品ブランドでもある。
ホテルも、水も、化粧品も、同じブランドです。
だからビッグマネーというわけで、
ホテルはバカンスの週末のわりと閑散としていたけど
全然問題ないんだろう。ビッグマネーイケノボー。

ヴィシーの街中には、湧き出る温泉水もあった。
フランスでは、温泉=療養らしい。
処方箋があれば、補助をもらって湯治できるんだそうで、
お兄ちゃんは、その昔修善寺で湯治滞在していたことを話してくれた。


帰りの高速から見た夕焼け。
この日から、サマータイムが終わった。冬時間の到来です。
これからどんどん寒くなっていくんだろうな。