2013-11-11

ボクと渡り鳥の会議

こんにちは、ボクです。



ボクたちは、約10日間のトゥッサンのバカンスをトゥールーズで過ごした。
ボルドーに帰ってきたら、鳥の餌がもうなくなっていた。
さっそく補充したのだけれども、一体いつから餌がない状態が続いていたんだろう…
小鳥たちが戻ってきてくれるか、ボクはご心配だった。
バカンスが終わって1週間たった。
いまのところ、シジュウカラが2羽戻ってきた。
姿をちゃんと見たわけではないけど、たぶん、ロビンも来ている気がする。
だけど、一番最初にやってきてくれたアオガラが戻ってこない。
ボクは、ご心配だ…
アオガラちゃん、餌を補充したから帰ってきておくれ、って
ノロシをたてようかと思っている。


ボルドーの街は、すっかりクリスマスの支度にかかっている。
クリスマスのマルシェの丸太小屋も準備されている。

色づく街路樹。



カンコンスの並木も
だいぶ黄色い。



立冬もすぎたけれど、昨日、本当に冬がやってきたんだと思うことがあった。


昨日、ボクは
家の近くの公園を散歩していた。

木々は、すっかり秋色だった。



ここの公園は、川が流れていて、
落ち着いて、気持ちいい。
ちょっとニューヨークのセントラルパークみたいだ。

水鳥も多い。
これは、頭にこぶのあるガチョウ。




そしたら、ある樹に差し掛かったところで、
ものすごい音が聞こえてきた。

大量の鳥が、その樹のてっぺんらへんに集まって、会議していたのだ。



この樹の上にくっついてる
黒いものは、全部鳥です。

何の鳥かなあ、
たぶんムクドリの一種だと思うのだけど。

異常なくらい、けたたましかった。


アパートに帰ってきて、窓から公園のほうを見たら、さらに鳥の数が増えていた。
そういえば今日は朝から鳥がたくさん飛んでいたなあと思った。

プー子ちゃんが翻訳してくれたところによると、
南へ渡る段取りをつけているらしい。





なるほど渡り鳥の会議だったのだ。
それでうるさかったし、たぶん鬼気迫った感じがあったのも、
これから長い旅へと向けた鳥たちの気合のせいなんだと思う。





そうして見ていると、
どんどん雲行きがあやしくなって、
スコールみたいな通り雨が降った。
風も強かった。

ところが鳥たちは、風に吹かれて
雨にうたれながら、相変わらず
樹の高い位置にしがみついていた。

ボクは、鳥たちの気合を感じた。
それと同時に、ああ、本気で行ってしまうんだなあと思った。

通り雨が過ぎて、夕闇が届く前に、
鳥たちはいっせいに飛び立っていった。

鳥たちは、ボクも一緒に来るかと訊いたけれど、
ボクは、もぐらと結婚するわけでもないし、
ボルドーのアパートは暖房もしっかりついているので、
丁重にお断りした。

翌朝起きたら、空は、いつも通り、静かだった。
あの鳥たちは、今頃どこらへんを飛んでいるんだろう。

これで冬が本格的に到来するな、とボクはお思いになった。


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今年は、ボクとプー子ちゃんとエセル卿で、
チャイコフスキーの秋の歌を弦楽三重奏で練習しようと思っている。
ボクは、この曲がとてもお好きだ。秋がやってくると必ず聴きたくなる。
現在の問題は、エセル卿が小さすぎてチェロに届かないことだ。
だけどボクはバイオリンを譲るつもりはないし、
プー子ちゃんに至っては、ギターがいいと言っている。

2013-11-07

プー子、ワインエキスポに行く

こんばんは、プー子です。
今週の大学は中間試験だそうですが、プー子には関係ありません。

先週末、トゥールーズでワインエキスポに行ったことを書く。
だいたい秋になると、フランス中で
ワイン展示会とか、物産展、特売会などがある。
まちなかのスーパーでもやっている。

今回プー子が行ったのは、特大ワイン物販会。
アルコールを飲まないお兄ちゃんは、お留守番。
プー子はそろそろ5歳なので、アルコールはオッケー。


仕組みはこう。
まず入り口で1ユーロのデポジットを支払ってワイングラスを買う。
そのグラスを持っていると、会場内の各ワインブースで試飲ができる。
試飲なので、ほーんの少しずつ。香りと味がわかれば十分というわけ。
もう要らないな、と思ったら、専用の入れ物に捨てる。


ワインブースは百以上、数え切れないほどあって、フランス各地から来ていた。
気に入ったら、1本とか箱入りとかで注文できる。
でもブースの目的は、なにより味を覚えてもらうため、ってのが大きい。
今日の一見さんより、未来のお得意さん、ってわけだ。

プー子たちはまず、トゥールーズのご近所、
サン・シニアンのとある生産者のブースで、赤ワインを3種類ほど試飲した。
ここは、クセのある重い赤で有名だ。けれどもプー子はどれも好きになれなかった。

そこで気分を変えて、次はブルゴーニュのブースで、白を4種類ほど試飲した。
これはどれも美味しかった。
魚介類と一緒に食べたらおいしいだろうな、という白があったので、
急に魚介類が食べたくなった。

実はワインブースのよこに、おつまみブースがある。
ワインブースはタダだけども、おつまみブースは有料です。


そこで
プー子たちは、
大西洋の特大牡蠣を食べに行った。
もちろん、白ワイン付き。
レモンを絞って、ちゅるっと食べた。
とっても美味しかった。

それからピエールおじさんは、
エスカルゴのカタランソースを買ってきた。

カタランソースは、ピリ辛のトマトソース。

プー子は、エスカルゴは食べられるつもりだったけど、実際に見てみると、おえーっ


殻を手でもって、爪楊枝で中をほじくるのだけれども、
その中身が、スルッと出てこなくて、
まず、びよーんと伸びてから、ちゅるっと飛び出る。いかにもナメクジ!
飛び出た中身は黒くてまだら模様で、
もう、なにもかも、とーってもグロテスクだった。
こんなもの、プー子食べらんない!

ピエールおじさんは美味しい美味しいといって食べていたけど、
プー子は、こんなものを食べるなんて、
その昔、フランスはよっぽどひどい食糧不足だったんだな、と思った。


その後は気分をとり直して、
ボルドーのソテルヌ畑の貴腐ワインを飲み、
アルザスの甘辛い上品な白ワインを飲み、
モンペリエ付近の香り高い白ワインを飲んだ。

プー子としては、アルザスのワインが、どれも奥深くて、ちょっとした発見だった。
南フランスにいるとアルザスワインは飲む機会が少ないので、
いろいろ飲んで、総じて美味しい、と思ったことがなかった。
これはとてもいい発見だ。
最近は、ルピアックとかソテルヌとかの貴腐ワインを飲むことが多いけど、
こういうワインは、最後の最後までまろやかな甘さが勝っている。
それはそれでデザートのように美味しいのだけど、
アルザスの、ベースは辛口ながら、ほのかな甘味をもったワインは、
より複雑で上品だった。
「ここでは、あなたの国より少しだけ人生が複雑なのよ」
とプー子はつぶやいてみた。

これからしばらく、アルザスワインを飲んでみようと思う。


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ところで、エスカルゴといえば。

毎週水曜日のビオ野菜には結構な確率で、
かたつむりやなめくじがついてくる。

お兄ちゃんやミカちゃんは怖がって
ガタピシうるさいけれど、
フランスでは、かたつむり付きの
葉っぱは美味しい、というのだ。

プー子はグルメ。