2011-10-30

ボクとモロッコのおじさんとベトナムのおばさん

少し前からボクたちは、
野菜と果物と花を、ご近所のマルシェで買っている。
火曜と土曜にマルシェがあるので、その日は早起きをする。
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リンゴは、ここに出るタルブ地方のリンゴ屋のリンゴが一番美味しい。
それから人参は、スペイン?訛のおばさんから買う。
これが、信じられないほど甘い。
このおばさんはお花も売っていて、それがまた愛くるしくて日持ちする。
今週のお花は、バラ。
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オバサンの店は人気で、人出のおおい土曜日は混みすぎるので
火曜に行くようにしている。
ここはいつも、マンツーマン対応。
お客さんが「○○と△△と□□をください」といって
その度にいちいちオバサンが野菜を用意してくれるので
一人のお客にながーい時間がかかるのだ。
パック詰された野菜を買う日本のスーパーとは大違い。

そういうわけで土曜の野菜は、いつもモロッコ人のおじさんから買う。
このおじさんは、毎回おまけをしてくれる。
それも、買ったのと同じ分ぐらい、おまけをしてくれる。
いつも、旬の果物と、よくわからない野菜…
ことの発端はこうだ。

ある日、ボクが見慣れない野菜をみかけたので、おじさんに訊いた
「おじさん、この野菜はどうやって食べるんだい?」
「おやプーちゃん知らないのかい、これはプーちゃんとこの国の野菜だよ」
「ええ、ボクは、こんな野菜は見たことないよ」
「そんなこたあない、ほらベトナムとか、タイとか、あるだろ」
「おじさん、ボクは日本から来たんだよ…ベトナムは遠いよ」
「とにかくほら、あそこにスタンドがあるから、
そこのおばさんにどうやって食べるか、訊いてごらん
見本にいっこ持っていっていいから」

スタンドというのは、中華?ベトナム?料理のキオスクのことだ
いつも開いてるのか閉まってるのか、わからない。
どうしておじさんは自分で教えてくれないんだろう。
おそるおそる中をのぞくと、
東南アジア系のおばさんが「いらっしゃい」という
「あの、おばさん、ボクは買わないんですけど
この野菜はどうやって調理するんですか」
ボクはひやかしと間違われるんじゃないかと、ひやひやした。
でもオバサンはニコニコ笑って
「これはジャガイモみたいなもんでね、
切ってスープに入れたり、焼いたりがお勧めだよ」
「ありがとう、おばさん!!」

そうしてモロッコ人のおじさんのところに帰っていくと
「どうだい、日本語で応えてくれたかい」
「いや、おじさん。ボク、あのひとはベトナム人だと思うよ」
「そうかいそうかい、まあプーちゃんの国だね
これはお試しで、おまけしてあげるよ。
次回作、がんばってね、文豪」と言ってくれた。

ベトナムと日本は同じようなもの、というオジサンの考えを
ほぐすことはできなかったけど、それからというもの
ボクたちは土曜の野菜は、このおじさんから買うようになった。

いつも、不思議な「プーちゃんの国の」野菜をおまけしてくれる。
それでボクは毎週、モロッコのおじさんとキオスクのおばさんの間を往復する。
今週はこれ。名前をきいたけど、聞き慣れないので、忘れちゃった。
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「プーちゃんは親切だからね、おまけしてあげるよ」といつも言ってくれる。
ボクは、親切なのは、おじさんだと思う。
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ここで一句
奥山にもみぢ踏みわけ尋ぬるプーの 野菜知るとき人あたたかし
ボクはこの句をおじさんにあげてきた。

2011-10-26

プー子、チョコレート品評会をのっとる

プー子たちの大好きな
クリオロのデューク更家が、
パリのチョコレート品評会で
「フランスで11人の最高ショコラティエ」に選ばれた。

サワコさんによると
デュークはコンペティションは好きじゃないけれど
勝手にノミネートされたらしい。

お兄ちゃんがブログに書いたからだろうか。

そういえば
このチョコレート品評会では、
プー子のだあいすきなコヤマロールのコヤマさんも
最高評価を受けていた。
外国人特別賞も受賞したとかで、
なんでもダブル受賞は品評会始まって以来のことらしい。
プー子は、コヤマロールがこれでまた
一層入手困難になるんじゃないかと心配する。

それにしてもこのチョコレート品評会は、
プー子たちの趣味とよくあう。
もしかしたら、プー子たちが主催しているのかもしれない。
だんだん、そんな気がしてきた。

だんだん、思い出してきたけど、
プー子は先週末、パリに行ったのだった。
それでチョコレートの試食をして
これはダメ、あれはおいしい、って
言ったのだった。そうだったそうだった。


写真は、うちのご近所
自然史博物館と、そのお庭、と、その併設カフェ
最近のプー子たちのお気に入りです
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2011-10-23

ボクたち、チョコレートのマルシェにいく

秋の深まるトゥールーズ…
あのおじさんが読んでいるのは、ボクの最新作だろうか。
熱心な読者だ、ボクもまだ読んでいないというのに。
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少し前まで、トゥールーズでは
5つのお祭りが同時進行していた。
オルガン祭り、ジャズ祭り、スペイン映画祭り、
博物館にいこう祭り、現代アート祭り…
ボクたちは、ジャズと博物館と、現代アートに
少し顔を出した。オルガンは、気付いたら終ってた。

でもボクたちプー族にとって
この時期最も大切なお祭りは、
チョコレートのお祭りMarché du Chocolatだ。
これは、上の5つのお祭りに比べると期間はたいへん短いけれど
生きていくうえで欠かせない。

ボクたちは、2年前、トゥールーズに来てすぐのころ
このマルシェをみつけた。そこで食べた
ショコオランジュのジェラートが、卒倒しそうなほどおいしかった。
(今から思えば、これはO Sorbet d'amourの
チョコマルシェ専用フレーバーだ)

去年は、チョコレートの泉が出ていた
そこで、沢山のチョコレートを試食した
なかでもCriolloというショコラティエの
マラカイボという板チョコにはまった。
これはベネズエラのチョコで、食べたあとに
口のなかでダラダラ味が続かない
後ろ姿の美しい、スマートでエレガントなチョコレートだ。
この1年、ボクたちは、マラカイボを買い続けた。

この春ぐらいには、クリオロのお店の向かいにある
別のショコラティエで働いているお兄さんとも知り合いになったけど
それでもボクたちはクリオロにしか通っていない。
できるだけ、お兄さんのお店は見ないようにして
そそくさとクリオロに入る。

そして今年、なんと偶然にも
ボクたちの仲の良いお友達が、クリオロでアルバイトをすることになった。
おかげでボクたちは、クリオロのえらい人に顔を覚えられた
というより、今までおしのびで行っていたところが
バレてしまったようだ。ここのおじさんは、デューク更家に似ている。
この6年ほどで、どんどんマルシェに深く関わってゆくボクたち

今年は、まず予習…
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真剣です
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そしてマルシェ。
試食にむらがる手
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Criolloの前で記念写真
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たくさんおまけしてもらった。
明日から、「プー族御用達」って張り出されるかもしれない
それでもボクたちはかまわない、ってぐらい
クリオロが好きだ。



公園でみつけた、仲良し老人4人組
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2011-10-03

エセル卿、日本にゆく、その3 〜楽しいニッポン〜

みなさん、こんにちは。エセル卿でございます。
遠い日本で、紳士の方に巡りあえたわたくし、
その後の日本滞在は楽しうございました。

暑いですとか、狭いですとか、
気にしてはいけません。
日本には、それを補って余りある楽しみがあるのでございます。
思い出を少しばかり、列挙してみましょう

ある日は、プーちゃんが、中之島を案内してくれました。
大阪のど真ん中にありながら、
落ち着いた雰囲気の界隈でございます
大正マロンという時代の雰囲気なのだそうでございます。
公会堂のなかではいつも和栗の品評会が行われているらしい
プー子ちゃんはここの常連で、栗まんじゅうや栗どらやきにお詳しいのです。
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中に入ってみますと、どこかでみたようなレンガ造り
ワタクシ、ついつい壁の穴に入ってしまいました。
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それからわたくしは、日本のラジオが大変気に入りました。
生活の知恵を言うております。
たとえばよい新じゃがの見分けかたですとか
子育て相談室ですとか、防災一口メモですとか、
大変ためになります。フランスのラジオではこうはいきません。
わたくしは日本のラジオから沢山のことを教わりました。
あの、みなさん、じゃがいもは、できるだけ
ごつごつしたものを選ぶのがよいんだそうでございますよ。

運良く、国民的アイドルのみなさんとも
お会いすることができました。
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また別の日には、プーちゃんとプー子ちゃんが、お家に連れてってくださいました。
白鷺城というんだそうでございますが、
残念ながら今は工事中で、覆いがかけてありました。
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中には白鷺がいるんだそうでございます。
なんと立派な門構え!
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わたくしを迎えたプーちゃんが
「友あり 遠方より来る また楽しからずや」と仰りました。
これはのちにプーちゃんのご本の一文になったそうでございます。

日本にはお城に住んでいる人が少なからずいるんだそうでございます
生活笑百科という、しかくい顔をした落語家の番組があって
今回の滞在中にわたくしはすっかり好きになってしまったのでございますが、
そこに出てくるカミヌマエミコさんと仰る方も、
大阪城に住んでいると仰っておられました。
さしずめプーちゃんたちのお友達でございましょうか

そしてなにより楽しかったのは、お笑いでございます。
ある日ラジオで聴いた上方演芸会がきっかけでございました
いとしさんが、「うちとこの妻(さい)がね」というと
こいしさんが「君んとこサイ飼っとるんか」と仰るのでございます
妻とサイ!天才的なボケ!なんとよくできているんでしょう!
これこそ紳士のめざすべき洒落でございます
わたくしは何度も関心し、腹筋がいたくなるまで
笑い転げました。だって、妻とサイですよ。ああ思い出すだけで可笑しい
まちがいなく、この漫才とか落語とかいうものは
わたくしの今回の日本滞在の最大の収穫でございます。

ああ、もう一度行きたい
今度は寄席に通いとうございます、が、
ひとまずこれにて。
お線香がたちきれました。

2011-10-01

プー子たち、お菓子ばっかり

早いもので、もう10月。
あしたは凱旋門賞、来週はマルシェ・ドゥ・ショコラ。
日本で、エセル卿がトイレばかり行ってるあいだ、
プー子たちはお菓子ばかり食べていた。

できたてアツアツの、太宰府天満宮の梅ケ枝餅
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焼いたお餅のなかにあんこが入っている
焼いた皮が、少しパリっとしていて、ほかほかのモッチモチ
プー族の大好きなお菓子のひとつ
その昔、お兄ちゃんが
古い神社仏閣の参道には、おいしいお菓子が育つ、ということを
証明して、イグノーベル文学賞を受賞していた。
プー子も、それは正しいと思う。
今回は食べ損ねたけど、熊野にある「もうで餅」も、とおってもおいしい
早く食べられるようになりたい。

そういう参道お菓子の王道
赤福は、本店まで行ってたべた。
ここは、不祥事があって以来、よりいっそうおいしくなった。
お餅がつきたてで、よくのびる。
もちぃぃっとしている。
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お兄ちゃんは、4皿たべて、お腹いっぱいでひっくり返っていた。
この前日には出町柳のふたばの歌舞伎団子を食べていたお兄ちゃん。
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こちらは、兵庫県三田ゆりのき台の
エスコヤマのコヤマロール
中に入っているのは、和栗よ。
シンプルなロールケーキだけど、ふわっふわでとってもおいしい
クリームも全然嫌みじゃない、ロールケーキの王様ね。
プー子は毎日でも食べられる。ああ、食べたいな。
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こちらは定番
プー子の大好きなミスタードーナツ
焼きドなるものは食べてみたかったけど、また次回
そのかわりポンデリングとか、エンゼルショコラとか、
ポンデにっきあずき?とか、ベイクドファッション紅芋とか、たべた。
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それからご近所のwacca
ここのドーナツは世界一!!
でも目立たないお店なので、もしかして
次帰国したときには壊れてるんじゃないかと心配。
小麦粉は北海道産で、豆乳はなんちゃら産
お豆腐は伏見の水を使用、サーモンは北海道産で、
心と体にやさしいわっかのおやつ。
ケーキドーナツはやさしいお味、
イーストリングドーナツは、もっちりふんわり
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夏の新顔、ワッカ型あんみつ!!!
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そしてトゥールーズに帰って、タルトタタン。
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おいしいしあわせ
プー族はお菓子大好きだけど、
「お腹を満たすためじゃなくて、心を満たすために食べる」のがモットー
無理してまで食べる、なんて決してしないの
そのぶん、一回にかける情熱が高まってきたというわけ
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また食べたい。明日にでも食べたい。