2012-10-29

ボクとお化けとカボチャプリン

ボクです。
ここ数日のフランスは、冷え込んでます。
先週ボクとプー子ちゃんは、秋の園遊会で東京に行ったけれど
そうだなあ東京と比べると、10度は差があるように思います。





それなりに風が強いので、
トゥールーズからでも遠くにピレネー山脈が見える。


奥の方、わかりますか?




昨日は毎年恒例のトゥールーズマラソンがあった。
けれどもボクの保持している世界記録は、今回も抜かれませんでした。
この記録はなかなか抜かれないと思うけれども
まあ誰かが抜くとしたら、プー子ちゃんかなあと思う。
ちなみにボクの記録というのは、10分です。


河の水面が、朝陽を受けてキラキラ
 








少し前に見かけた
落書きを消すオジサン
万里の道も一歩からというべきか、
焼け水に石というべきか…












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エミリーのおうちで大きなカボチャを貰ったので、
このごろボクたちは毎日カボチャを食べている。
本当に大きなカボチャで、直径30mはあるんじゃないかと思う。
カボチャの煮物、カボチャのおやき、カボチャのサラダ、カボチャのチャンプルー
うどんにもカボチャ、炒め物にもカボチャ、お味噌汁にもカボチャ…
まるでカボチャ農家の子どもみたいだ。
でもやっぱり日本のカボチャはホクホクしていて、おいしい。
フランスのカボチャは、もっとシャキシャキしている。

ボクは、カボチャを貰ったその日から
カボチャプリンを食べたかったのだけど
面倒くさいとかなんとかで、
なかなか作ってもらえなかった。

でも先週のある夜、草木も眠る丑三つ時、
ミカちゃんがお化けを見たといってボクを起こしてきた。
ボクは、どうせ見間違いだろうと思って
「お化けなんてないさ」の歌を歌ってやったら、
安心して寝付いたらしい。人間は単純だ。
そしたら大変感謝をされて、カボチャプリンを作ってくれた。



ボクは、またカボチャプリンが食べたいので、
お化けがまた出て来るおまじないを毎日唱えている。
10月31日はハロウィン、11月1日は諸聖人、2日は死者の日、3日はお歳暮だから
これはひょっとするとひょっとするんじゃないだろうか。ヒッヒッヒ

2012-10-22

ボク、フランスの田舎に住みたい

今週末、ボクたちは、エミリーのご両親のおうちにお呼ばれした。

トゥールーズから車で45分、Montesquieut-Volvestre
(モンテスキュー・ヴォルヴェストゥル)という村のはずれです。
とても静かな、田舎です。

ボクは、とてもいいところだとお思いになった。

オウチは、お庭がとても広くて、野菜がいっぱい、樹がいっぱいだった。
エミリーのご両親は、ここで野菜の有機栽培を楽しんでいるそうです。

カボチャの季節なので、カボチャがゴロゴロしていた。
ボクが乗っているのは、フランスのカボチャで、ポチマロンといいます。
他に日本のカボチャもあった。
なぜ日本の品種がフランスにあったのかは、ここには書けない。

秋です。たわわです。
有機栽培ということは農薬を使っていないということなので
お庭には、小さな虫が沢山いた。みんな呑気だった。
プー子ちゃんの後ろの枝が黄色いのは
小さな苔が沢山あるからです。秋色です。

エミリーとボクたち。


りんごの樹が沢山あった。
これは、 蜂を捕らえるための罠らしい。
中の蜂が、プーちゃん出しておくれようと言ってきたけど
ボクはどうしようもできないし、
逆にこうやって罠を作ればいいのかと勉強になった気がした。
 










苗床です。
下にある黄色いのはお化けズッキーニで、
大きくさせて、来年撒くための種をとるためらしい。











写真には写っていないけど、エミリーが生まれたときに植えたという
松の木があって、ずいぶん背高ノッポに育っていた。
椿もあったし、桜もあった。三椏まであった。池もあった。滝もあった。
葉っぱは赤や黄色に色づき始めていた。
村はずれなので、周りに家はなくて、とても開放的、静かで落ち着いていた。



お昼ご飯は、トゥールーズ名物のカスレをいただいた。
鴨のコンフィとか豚ソーセージを白インゲン豆で煮込む料理だ。
白インゲン豆は、カスレに最適といわれるタルブ地方の豆haricot tarbaisで、
おまけにお庭でとれたものだから、最高に美味しかった。 
ちょっとトウモロコシみたいな甘さがあった。
お腹がとても一杯になった。

素敵な素敵なおうちは、改築を重ねているらしく
冬は暖かくて夏は涼しいんだそうだ。 
ちょっと、長野にある、知り合いのペンションを思いだした。
庭に出る扉はガラス張りの部分もあるのに
夜中は鍵をかけるだけで、安全らしい。




消化のために、ボクがお昼寝をしているあいだ
プー子ちゃんは、近くの散策に連れて行ってもらったそうだ。
丘があって森があって、空気が美味しかったそうだ。
キノコも採ろうと思ったら採れるらしい。

ボクの知ってるかぎり、フランスの田舎というのは、
日本の田舎に比べて、景色が開けている気がする。
なだらかな丘続きが多いので、眺めがいい。
そこで深呼吸すると、大変きもちがいい。



ボクも、ここに住みたくなってきた。











だけど、エミリーのご両親ちに住むわけにはいかないから、
お隣さんにでもなろうと思う。

ボクも、村はずれにオウチを買って、改築して、
有機野菜をつくって、夏はダラダラ、冬はゴロゴロして過ごしたい。
暖炉と床暖房も、忘れてはいけない。
冬は、少しは雪が降るというから、ボクは雪はイヤなので
ボクのオウチは、全体的にビニールハウスで囲むことにしておこう。
蜂の罠は、エミリーのお父さんに作り方を教えてもらおう。

ボクは思い立ったら行動が早いので、
エミリーんちのカエル氏に頼んで
この辺の不動産を紹介してもらう手はずを付けておいた。
来週ぐらいには、ボクの快適田舎生活が始まることだろう。

2012-10-15

ボクの文化的な週末

ボクです。秋です。芸術の秋です。
 
芸術の秋ということで、この週末は、
ボクは大変に文化的にお過ごしあそばされた。

金曜日は、トゥールーズの振付センターで
お友達のユウタくんの新作を見せてもらった。
新作といっても、實はまだ未完成で、
現在出来上がっているところまでを公開して
お客さんから意見をもらうという企画だ。
ボクは、エミリーと一緒に観に行った。


ボクは昔、カルロッタ・グリジのために
バレエ『ジゼル』の台本を書いたこともあるし
ル・タン・モデルヌに舞踊評論を連載していたこともある。
いわゆる三大バレエの振付けをしたのもボクだ。
ダンサーとしても有名で、
舞台の端から端まで跳んだといわれるほどの跳躍力をほこって
東洋人として初めてロイヤルバレエ団のプリンシパルになった。

こうやってみるとボクはバレエと深く関わってこられたのだけれども
金曜日は、そういうことをすべて忘れて、初心に返って、新作を楽しみました。
お客さんと話ながら作品を作るというのは、やっぱり面白いです。
観ている方も、卵を温めている気持ちになったり、
雛が成長するのを見守っている気持ちになったりする。
この後12月に照明付け、フランクフルト初演ののちに
トゥールーズでは2月に本番だそうです。
きっと雛は大きくなって、空に飛び立って、
アドリア海の英雄になるでしょう。
 
振付けセンターの近くには我らがソラネコがあって
よもぎ団子も食べた。















土曜日は、朝からコンサート。
今トゥールーズでは、有名なオルガンフェスティバルが開催中で
街中で色んなコンサートをしている。
ボクたちが聞きに言ったのも、このフェスティバル関係ですが
これはオルガンではなくて、クラヴサンのコンサートでした。
ゴルトベルク ヴァリアチオーネンです
古い教会で、行われた。

















實はゴルトベルクを作曲したのはボクだし
ボクはそもそも5歳で作曲を始めて、天才と呼ばれていた。
祖国を踏みにじられた怒りを「革命」という曲に託したこともある。
音楽に偶然性を取り入れたり、環境音を入れたり、新しい試みにも貪欲であらせられる。
ボク自身によるゴルトベルクの録音は、56年と81年だ。
56年のアルバムでは、アームストロングを抑えてチャート1位になった。

そのようなボクですけれども、
コンサートは何もかも忘れて初心に返って、聴きました。
アリアが華やかで繊細で、とてもよかったです。

来週は同じオルガンフェスティバルの一環で、
Musikalisches Opfer(音楽の捧げもの)があるらしく
とっても、とっても、行きたいのだけれど、
先約があって行けません。あ、こりゃ残念。



教会の中庭





顔に見える。







日曜日は、文化的も文化的、食文化ということで、
毎年恒例のチョコレートのマルシェに行った。
プー族は毎年このマルシェに欠かさず行っていて、
今年で4年目です。
ところが日曜日は大雨。
いつものようにクリオロで チョコを買って、
ソルベダムールでチョコオレンジのアイスクリームを食べて、
ボンボニエールのチョコを試食して、油を売りまくりました。
早々に引き上げました。
雨だったので、写真は撮っていません。


※ところで、上にボクの書いたことは、あまりにも本当で
裏をとるだけ時間が無駄ですから、新聞各社は裏を取る必要はありません。

2012-10-08

プー子と秋のトゥールーズ

プー子です

一時帰国のあいだは止まっていた時間が、
トゥールーズに帰ってきたら、また流れ出した。

帰ってきたら、もうすっかり秋。
カボチャ、葡萄、イチジクなんかがとおっても美味しい。
朝晩はだいぶ肌寒いけど、日中は暖かい。

秋晴れのサンセルナン教会。


マルシェのチーズ屋のお兄さんは、
「プー子ちゃん、お早いお帰りだね」といって
迎えてくれた。
お兄さんは最近、事故で指を切っちゃったらしい。
早くよくなってほしい。



薬屋のおばさんは、
「プー子ちゃん、時差ぼけはもう治ったかい?」といって
プー子の健康を気遣ってくれた。






そして何よりのビッグニュースは
マルシェのリンゴ屋のお姉さん。
彼女は、ぶじ出産をおえていた。
彼女は、ずーっと一人でリンゴを売っていたけど
去年の暮れぐらいから、無愛想な彼氏が手伝い始めた。
あれよあれよと言う間に彼女のお腹は目立つようになり
夏はさらにお手伝いの女の子が増えて、
しまいにゃご両親まで手伝いにきた。
彼女はギリギリまでお店に立っていて、
プー子たちお客さんもみんなで、無事の出産を祈っていた。
予定日は9月11日だったので、プー子たちが
日本に向けて旅立つ頃、生まれたのかもしれない。
元気な男の子で、母子ともに健康だそうです。
ああ、ご近所の歴史に立ち会ってる気分だわ。


こういうのを通して、ここに住んでるって思う。
そして哀しいかな、
こういう感覚は、もう日本に帰ってもありません。



そんなこんなでフランスも4年目突入、
プー子、ガンガリます。










ところで余談だけども
プー子は、札幌で食べた
ホッキのお寿司が忘れられない。
乳白色で、コリコリしていて、とおっても美味しかった。
お寿司に乗って、ああ絶品だった
また今直ぐにでも食べたいなあ

プー子とラビさん、と、トトロさん

2012-10-04

ボクと抽選券

大阪の阪神百貨店に行ったときのことだ。

ボクたちは、久しぶりの日本で嬉しくて
食器とか色々買い込んだ。
合計金額が1万ちょっとフランだった。

そしたら阪神百貨店はいま、1万フランお買い上げごとに
抽選券を1枚プレゼントしているということで
ボクは抽選券をもらった。
何が当たるのかは忘れたけれど、
抽選会自体は10月だか11月だかにあるそうなので
ボクはそのときはもう日本にいらっしゃらないから
もらった抽選券は、家に帰って、おばちゃんにあげた。
心優しいボクのイメージを植え付けておこうと思ったからだ。
こういうのは、機会があるごとにアピールしておいた方がいい
いつなんどき、団子を買ってもらえるか、わからないからだ。
 


おばちゃんはそれなりに喜んでいた。
それでボクは、心優しいボクのイメージを強化するために
抽選が当たるように、願掛けをしてあげる、と言ってみた。

別にそんなことで当たったら苦労しないのだけど
信心深いおばちゃんは、「ほなプーちゃんお願い」と言った。
ボクは内心、ちょっと面倒くさいなあと思ったけれど
言い出したはボクなので、仕方がない。

ボクは、抽選券に近づいて、当たるようにと念じようと思った…
けれどもその瞬間、
ボクのなかで、どうしても堪えがたい欲望がムズムズしだした。
どうしても、どうしても我慢できなくって、抑えきれない。
ボクはついにこう叫んだ。

「はずれろっ!!!」

おばちゃんは真っ青になって、こらプー坊と言いかけたところへ、
すかさずプー子ちゃんが

「おばさん、今のは厄落としよ!」

と言った。ふう やれやれ
さすがボクの妹、こういうのを阿吽の呼吸という。
とりあえずこれで、心優しいボクのイメージは保てたと思う。

2012-10-03

ボクと定山渓の思い出


お久しぶりです、ボクです。
ボクは9月12日から30日まで、来日していらっしゃった。

日本では色々なことがあった。
団子を食べたり
 寄席に行ったりした。

プー子ちゃんは、松竹座に芝居を観に行った。
(こういう時のプー子ちゃんは
「こいさん」と呼ばなきゃ怒られる。
何事も 気分が肝心 プー族です)








それに今回は、いつものように関西ステイだけではなくて
北海道にもいらっしゃった。主に札幌です。
札幌は、そこらへんに白樺や赤松が生えている。
本州でいうと、高度1000mぐらいの感覚かな。
キタキツネにも遭遇した。










北海道大学は、森のようだった。







 ボクの記念碑があった。
ボクは昔ここで講演をして、
ボーイズ、ビー・アンビシャスと云ったのですが
それが記念碑になっているわけです。
ちょっと照れるなあ。
でもこの銅像は、あまり似ていない。



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ボクたちの札幌の目玉は、定山渓温泉。
定山渓温泉は札幌から1時間あまりで行ける、温泉郷です。

ミカちゃんの都合で、どうしても札幌駅を15時半に出るバスにしか乗れなかった。
本当なら定山渓というのは、 朝行って夕方帰ってくる場所らしいけど
仕方がない、強行軍で、夕方お風呂ツアーです。
バスに乗って、片道1時間ちょっと。


あ、ここは定山渓。
ちょいと、湯上がり、若旦那プー。
(何事も気分が肝心なのだ)







入ったのは、バス停から一番近かった温泉旅館「鹿の湯」
夕方だったので、ミカちゃんはフロントのロッカーにお財布を預けた。
脱衣場のロッカーが一杯の可能性があったからだ。

お風呂は大きかった。ボクとエセル卿は、男湯。
だけど露天風呂は残念だった。
普通の部屋の、壁一面が 抜けているような造りだったので、
外の空気は感じられるけど、頭の上が抜けているという解放感はなかった。
ちょっと、がっかり。
それでもボクたちは、川のせせらぎを聴きながら
北海道弁の練習をしたりした。

お風呂上がりにはフルーツ牛乳を飲んで、
マッサージをしてもらって、ああ極楽。テルマエ・ホッカイドウエ。
いい気分でフロントに戻ってきて、帰りのバスをみたら
ちょうど、もう少しで来そうなバスがあった。
帰りのバスは1時間に2、3本だから、できれば乗りたい。
フロントの人に、
「ここからバス停まで歩いて何分ですか、
今から出て、このバスに間に合いますか」
と訊いたら
「ギリギリですねえ」と返す。
それでボクたちは慌てて旅館を出て、
ちょうど来ていたバスに飛び乗った。

ああ 体がほこほこ 温泉の揉み返し…

に、ぼおっとするのもつかの間。
お財布を忘れたのに気がついた!

バスの運転手さんに、旅館に忘れ物をしてきたと打ち明けたら
もう歩いて帰れない程遠くまで来てしまったので
反対行のバスに乗りなさい、と云われた。
お財布を忘れてバス賃が払えなかったけど
幸い、運転手さんがボクのファンだったので、そのままバスを降りさせてくれた。

ボクたちは、再び温泉行のバスを待った。
あと5分以内で次のが来ると書いてあったから
湯冷めしないうちに早く乗りたいなあと思って、バスを待った。

でもバスは来ない。
暗ーい、寂しーい、人通りのない道で、だんだん心細くなってきた。

ふと見ると、後ろは森で、「北海道八十八カ所霊場」と書いたのろしが立っている。
ボクは、一気に背筋が寒くなった。
どうしてお寺のことを「霊場」なんて言うんだろう
怖いじゃないか、やめてくれ。

隣でプー子ちゃんは、「バス来ないねえ」といって
トトロごっこを始めたけど、ボクは気が気じゃなかった。
化け猫のバスなんて、まっぴら御免だ。
ボクは暖かい人間のバスに乗りたい!

結局バスは5分遅れで到着したけど、ああ
ボクはその間、小さなお胸を痛められたよ。
余程長い間待ったように感じた。

札幌市内に戻ってきて、ちょっと冷えてしまったので
ラーメンを食べて温まりました。



ちょっとスパイスの効いた、定山渓の思い出でした。