2011-10-30

ボクとモロッコのおじさんとベトナムのおばさん

少し前からボクたちは、
野菜と果物と花を、ご近所のマルシェで買っている。
火曜と土曜にマルシェがあるので、その日は早起きをする。
RIMG0005 by mikans101
RIMG0005, a photo by mikans101 on Flickr.



リンゴは、ここに出るタルブ地方のリンゴ屋のリンゴが一番美味しい。
それから人参は、スペイン?訛のおばさんから買う。
これが、信じられないほど甘い。
このおばさんはお花も売っていて、それがまた愛くるしくて日持ちする。
今週のお花は、バラ。
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RIMG0009, a photo by mikans101 on Flickr.



オバサンの店は人気で、人出のおおい土曜日は混みすぎるので
火曜に行くようにしている。
ここはいつも、マンツーマン対応。
お客さんが「○○と△△と□□をください」といって
その度にいちいちオバサンが野菜を用意してくれるので
一人のお客にながーい時間がかかるのだ。
パック詰された野菜を買う日本のスーパーとは大違い。

そういうわけで土曜の野菜は、いつもモロッコ人のおじさんから買う。
このおじさんは、毎回おまけをしてくれる。
それも、買ったのと同じ分ぐらい、おまけをしてくれる。
いつも、旬の果物と、よくわからない野菜…
ことの発端はこうだ。

ある日、ボクが見慣れない野菜をみかけたので、おじさんに訊いた
「おじさん、この野菜はどうやって食べるんだい?」
「おやプーちゃん知らないのかい、これはプーちゃんとこの国の野菜だよ」
「ええ、ボクは、こんな野菜は見たことないよ」
「そんなこたあない、ほらベトナムとか、タイとか、あるだろ」
「おじさん、ボクは日本から来たんだよ…ベトナムは遠いよ」
「とにかくほら、あそこにスタンドがあるから、
そこのおばさんにどうやって食べるか、訊いてごらん
見本にいっこ持っていっていいから」

スタンドというのは、中華?ベトナム?料理のキオスクのことだ
いつも開いてるのか閉まってるのか、わからない。
どうしておじさんは自分で教えてくれないんだろう。
おそるおそる中をのぞくと、
東南アジア系のおばさんが「いらっしゃい」という
「あの、おばさん、ボクは買わないんですけど
この野菜はどうやって調理するんですか」
ボクはひやかしと間違われるんじゃないかと、ひやひやした。
でもオバサンはニコニコ笑って
「これはジャガイモみたいなもんでね、
切ってスープに入れたり、焼いたりがお勧めだよ」
「ありがとう、おばさん!!」

そうしてモロッコ人のおじさんのところに帰っていくと
「どうだい、日本語で応えてくれたかい」
「いや、おじさん。ボク、あのひとはベトナム人だと思うよ」
「そうかいそうかい、まあプーちゃんの国だね
これはお試しで、おまけしてあげるよ。
次回作、がんばってね、文豪」と言ってくれた。

ベトナムと日本は同じようなもの、というオジサンの考えを
ほぐすことはできなかったけど、それからというもの
ボクたちは土曜の野菜は、このおじさんから買うようになった。

いつも、不思議な「プーちゃんの国の」野菜をおまけしてくれる。
それでボクは毎週、モロッコのおじさんとキオスクのおばさんの間を往復する。
今週はこれ。名前をきいたけど、聞き慣れないので、忘れちゃった。
RIMG0040 by mikans101
RIMG0040, a photo by mikans101 on Flickr.



「プーちゃんは親切だからね、おまけしてあげるよ」といつも言ってくれる。
ボクは、親切なのは、おじさんだと思う。
RIMG0034 by mikans101
RIMG0034, a photo by mikans101 on Flickr.


ここで一句
奥山にもみぢ踏みわけ尋ぬるプーの 野菜知るとき人あたたかし
ボクはこの句をおじさんにあげてきた。

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