みなさん、こんばんは、プー子です。
今日は、バカンス最終日。
トゥールーズ最後の夜です。
バカンスのあいだ、
プー子はクリオロのあたらしい
チョコカフェにいった。
クリオロは、
トゥールーズの有名なチョコ屋さん。
ホットチョコレートがおいしかった。
プー子は、ライムの味の
チョコを飲んだ。
香りが絶妙だった。
10月31日はハロウィンで、仮装した若い人たちが街に溢れていた。
翌日11月1日は、万聖節の祝日にもかかわらず、ちょっと大変だった。
実は最近トゥールーズの近くの村で、
ダム建設に反対するデモに加わっていた若い男の人が、
警察官の投げた手榴弾によって死亡するという事故があった。
警察のほうに殺すつもりはなく、男の人は運悪く亡くなった、ということらしいけど、
それにしても手榴弾を投げるなんて、だいぶん穏やかじゃない。
それで、その亡くなった男の人に捧げるデモが、11月1日にあった。
デモ隊と、それを迎え撃つ警察隊のあいだで、ことはだんだん過激になってきた。
15時にデモが始まったのだけど、20時ぐらいにメトロは完全封鎖、
街中のガラスは破壊され、道には催涙ガスがまかれた。
プー子たちは、お友達とバーにいて、そのバーのテレビで知った。
テレビには、よくよく知っているトゥールーズの道で、
警察が暴力を振るったり、暴漢が車を燃やしたり、
もくもくと煙が上がるなか、ターミネーターみたいな格好をした警察官が
ノシノシ歩いているのが映っていた。
今回のデモは、トゥールーズとナントで起こったそうで、
全国ネットでテレビ中継されていた。
市民と警察というのは、フランスでは仲が良くないらしい。
なんでも、アメリカの警察はもともとが保安官だから、
アメリカ市民には好かれているんだそうだ。
けれどもフランスの警察は、もともと近衛隊なんだそうで、
フランス市民はあまりよく思っていないんだそうだ(いつの話だ)。
それにしても、今回の事件にしたって警察のほうで、
誠に遺憾ですというコメントを出すのでは
収まらないのだから、プー子は不思議だ。
テレビでは、トゥールーズ市長やナント市長が
街を破壊したのはデモ隊でも警察官でもなくて、
どこからかやってきた人たちだと言っていた。
内務大臣も、善良なフランス人を脅かす小グループが
どこからかやってきて、街を破壊したのだと言っていた。
これは明らかに政治トリックだ。
架空の犯人グループを挙げることで、テロとかなんとか言って
相手の要求に応えず武力制圧する言い訳を探しているのだ。
けれども、デモ隊のほうでも、警察を許すなんていう選択肢は最初からないのだろう。
たぶん積もり積もったいろいろがあって、今に至っているのだ。
一触即発のところに、今回の殺人事件が起こって、
これを機に警察への鬱憤を晴らしたい人たちと
武力で黙らせたい警察が衝突したのにちがいない。
たぶん最初の殺人事件も、そういう抗争の中で起こったんじゃないだろうか。
こういうことはフランスではたまにあることらしいけども、
やっぱり警察が市民にむかって催涙ガスをまくとか、
市民が走って逃げるとか、そういうことは、プー子は見慣れないからドキドキした。
ところで、昨日の夜は市の中心部が閉鎖されていて、
プー子たちはテレビで見ていただけだったので
今朝になってどのぐらい破壊されていたのか(お兄ちゃんが)見に行った。
「はい、こちら
社会部のプーです。
ボクはいま、トゥールーズの
目抜通り、アルザスロレーヌ通りに
来ています。ご覧のように
銀行の窓ガラスが割られています」
「この銀行のガラスが割られています。
他のお店は無傷で、
他の銀行もほとんど無傷です。
実は、そんなに破壊されていなくて、
破壊されているところを
見つけるほうが大変です。」
「ちょっと疲れましたから、
ボクもクリオロのカフェに行きます。
一休みします」
「新しいクリオロのカフェは
サンテティエンヌ聖堂のすぐ近くです。
ホットチョコレートは二種類です。
どの飲み物を頼んでも、もれなく
好きなチョコレート一粒が付いてくるので、
ホットチョコとチョコを食べるのが苦手な人は、
コーヒーを頼んで、一緒にチョコを食べるのも
悪くありませんね。」
「昨日のテレビでは
エスキロールが戦場と化していたように
見えましたが、エスキロールも
一部分だけが破壊されていました。
ご覧のように
無傷のATMが目立ちます」
「こちらも、
なんら問題ありません」
「アルザスロレーヌの
破壊されたATMです。
破壊されていたのは、
ここぐらいでした。」
テレビや新聞は、一部分だけ流すから、びっくりするのかなあ。