2013-10-09

ボクと乗り合いグルマ

こんばんは、今日は乗り合いグルマのはなしです。


ボクたちは、だいたい2週間に1回はトゥールーズに戻っている。
ピエールおじさんも、2週間に1回、ボルドーに来る。
これは、同じタイミングに移動しているのではなく、互い違いに移動しているのです。
それで毎週ピエールおじさんに会っている。
ピエールおじさんは、ボクたちに会えないと寂しくて夜泣きをしているそうだ。

そのボルドー〜トゥールーズ間の移動手段だけども、最初は電車だった。
だけども電車は、よく遅れた。
一度なんて、夜の電車なのに、10分遅れます…とうアナウンスがあったあと、
そのあともう10分遅れます…、もうさらに10分遅れます…、
と、まあとても疲れた。結局トゥールーズに着いたのは夜中の12時をまわっていた。
それに有名な話で、フランスの電車は、
バカンス期間はストライキをする可能性が高い。




ボルドーの駅のホーム
右側には遅れている電車を待つ人









そういうわけで最近はもっぱら乗り合い馬車、ならぬ乗り合いグルマで移動している。
フランス語で、covoiturage(コヴォワチュラージュ)という。

仕組みはこうだ。
covoiturageの仲介をしているサイトがあって、そこで駆け引きが行われる。
たとえば誰か、ボルドーからトゥールーズに行く人があったら、
サイトで、アナウンスを出す。
私はこういう人でこういう車にのって、
この時間に出て、この道程を行きます、誰かこの金額で乗りませんか、という。
そして誰かそれを見て賛同したら、
その人は乗せてってもらう手続きをする。
大体ボルドーとトゥールーズのあいだにはこの手の提案が沢山あって、
毎時間毎分毎秒、誰かが乗り合いグルマで走っている。
大抵ドライバー1人と、相乗りの人が3人、満員で40人だ。
ドライバーからすれば、高速代とガソリン代がうくし、
乗せてってもらう人からすれば、電車より安くて確実だ。
ドライバーは大抵フランス人だけど、大体時間通りに出発するし、
企業は関係ないので、ストライキもない。


(トゥールーズの日本庭園のプー子ちゃん)


ボクたちは、最初ちょっと怖かった。
知らない誰かの車に乗せてもらって、そのまま誘拐されたらどうしようと思った。
だけども最初に試したピエールおじさんが、思いのほか快適だったと言ったので、
狐につままれた気持ちでやってみた。
そしたら、楽だった。

2時間半ぐらいの道程を、乗り合わせた人たちとベラベラ喋って過ごしてもいいし、
ぼーっと外を見てもいいし、寝てもいい。
それに仲介サイトにはちゃんとその人の評判というのがあって、
おかしな人は一発でわかることになっている。
ボクたちは、経験があって、評判のいい人しか選ばない。

一番最初の乗り合いグルマの運転手は23歳の女の子で
親切だったけど、若者言葉が、とおってもわかりにくかった。
女の子の方が安全だろうと思って選んだけど、
彼女は車の中で煙草を吸うし、ボクたちはちょっと快適じゃなかった。
それで2回目以降は、禁煙車を一番に選んだ。
2回目は、51歳のおじさんの車に乗せてもらった。
おじさんは人生経験が豊富なので、外国の文化にも理解があって
いろいろ話して、2時間半があっという間だった。
そのうち半分以上は、おじさんのメキシコに行った話を聞いていた。
もう一人の同乗者は、ちょっとうんざりしていたけど、
ボクはテキーラとサボテンの話はまんざらでもなかったので、楽しく聞いていた。
あのおじさんの車には、もう一回乗りたいと思う。
だけどおじさんは仕事でフランス中を移動すると言っていたから、
ああ次会うことがあるのかなあと思う。知るも知らぬも逢坂の相乗り車、だ。
3回目は42歳のおじさん。笑顔がすてきだった。
4回目は21歳の男の子、無口だった。

他人の人生話を聴くのは、わりと楽しい。
それに、ちょろっと乗って、ちょろっと降りれる気楽な感じが、いい。
電車よりも高速道路の方がなんとなく景色がいいし、
電車よりも車の方が座席の空間が広くて快適だ。
時間も、たぶん車のほうが、少しだけ早く着く。
日本みたいに、電車の方が早くて
高速道路にも渋滞があるんじゃあ、こういうシステムは成り立たないだろう。
それからフランス人のべらべら喋る文化が下支えしているのも事実だと思う。


それでこないだの週末は、
なぜトゥールーズに行ったかというと
おいしいパン屋さんの
パリ・ブレストとエクレアが
食べたかったからです。

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