ボルドーに引越してきて、トゥールーズとの違いをいろいろ感じるけど、
とくに大きな関心事は、地元&ビオ野菜のこと。
トゥールーズでは、何の苦労もなく、地元野菜を買っていた。
地元の農家の人たちがやってくるマルシェが、沢山あったから。
火曜と土曜はキャピトルとプラス・デュ・サランで、
日曜日にはサントーバンのマルシェがあった。
たぶん、各地区には、もっと色々ある。
お肉も、ジェースとか近場のお肉が簡単に買えたし、
ワインもチーズも地元のものがふんだんにあったから
大体、半径100〜150キロ以内で取れたものを食べていた。
その気になれば、完全な地産地消もできたと思う。
プー子たちは、ビオにはあまりこだわっていないけども、
(環境のことを考えるとビオの方がいいのはわかっているけども)
地元というのにこだわっていた。だって安くて美味しいのだもの。
地元生産だと、輸送費がかからない。
たいてい生産者から買うから、手数料もかからない。
それでいて新鮮で美味しいのだから、プー子たちは地元野菜大好き。
で、そういう地元野菜は、最近の流行だか、南仏の流行だか知らないけど
たいてい、ビオ(有機栽培)か、レゾネ(無農薬?栽培)だった。
結果的にビオを食べていたってわけ。
(なので、スーパーで売ってるビオ野菜にはあまり興味がない。
それからたまに行くトゥールーズ近郊の田舎では
さらに新鮮で安い野菜があるので嬉しい)
と!こ!ろ!が!
ボルドーに来てみると、マルシェはあるけれども地元の生産じゃない!!
モロッコのトマトとか、スペインのなすびとか、ちょっとおっちゃん、遠いねん!
大きなマルシェにいっても、ビオは1店か2店で、とても高い。
そもそも売っている人が、生産者じゃない。
ボルドーに長く住んでいる人に訊いても、
「野菜?スーパーで買うんじゃないの?
え、ビオ?スーパーにもあるじゃん」
って言われて、なんだかなあ。
たまにトゥールーズに帰って、地元野菜を食べると
レタスはシャキシャキして、インゲンはしっかり味があって、
トウモロコシは生で食べられるほど甘くって、
ラディッシュは辛くって歯ごたえがあって、ああこれが野菜の味なんだと思った。
やっぱり野菜ってのは、こうでなくっちゃ。
去ってみてわかったけど、プー子たちは、きっと、とても贅沢な食生活をしていたのだ…
プー子が思うに、トゥールーズの人の気質は、多かれ少なかれヒッピー的だ。
政治的にも左が多くて、人々のあいだに見えない連帯がある。
「オラたち、大企業に虐げられたって、決してへこたれねえべよ!
仲間と一緒になって、お上に一泡吹かせてやらあ!
おう、オメェも一緒に来るべか!
何かあったら、オラっちに言えよ!オメェ独りじゃねえぞ!」って感じかしら。
それで田舎とか自然への愛好が強くて、
「ピレネーの近くに住んでるんだずら」「ええなあ」
「そこでビオ野菜さ作ってるべよ」「そら最高だべ、ゼンだべなあ」てな具合。
下手したら、肩組んでイマジンを歌いだしそう。
おわかりいただけるかしらん、このヒッピー感。
プー子は、地元野菜への愛着は、このヒッピー感のひとつの現れと思う。
でもボルドーには、今のところ、みじんもヒッピーらしさを感じない。
土の匂いなんて全然感じないし(海の匂いは感じるけど)
窓から見える家々の中庭にも、家庭栽培は皆無。
街中にも、ビオ食材をうたったレストランは見かけない。
(ボルドーの
白い家と黒い家)
別に人々の気質の違いは違いとして受け入れるけれども、
ただひとつ寂しいのは、野菜…
パリで地元野菜が見つからないのは、仕方ないと思う。
そもそもパリの地元でとれる野菜なんて限られてるから。
だけどもボルドーの近くには、アジャンとか、それなりに農家の街がある。
ただボルドーで需要がないから買えないのだとしたら、とても残念だ。
もう、あんなにおいしい野菜は
トゥールーズに帰ったときしか食べられないのかしらん…
と、思っていたら!
プー子は独自の情報網を張り巡らして、ついに発見した。
地元のビオ野菜が買える場所を!!!
しかもびっくり仰天、あっと驚くため五郎。
小規模映画を上映している映画館チェーン、ユートピアの一室で、
毎週水曜日、夜な夜な地元野菜の受け取りが行われているというのだ…
システムはこう。
毎月最終水曜日に、翌月分の注文をする。
その後は各水曜日に、ユートピアまで野菜を取りにいく。
プー子たちが、それを知ったのが昨日で、なんと偶然にも、月の最終水曜日だった。
プー子は早速、現場に侵入した。
これがボルドーのユートピア。古い教会を改築したらしい。
カフェにはビオのコカコーラ(!)が売ってあって、否が応でも期待が高まる。
といってもプー子はそんな変なコーラは飲まなかったけど。
ユートピアの狭い螺旋階段をあがっていく…
と、狭い廊下に受付カウンター、そしてその奥の暗い部屋に人だかり。
大きなパニエ(籠)を持った人たちがひしめいていて、妙に熱気に満ちている!
とっても暗い部屋は、人だらけで、ステンドグラスの光が少しだけあったのか
豆電球が少しだけ付いていたのか、とにかく暗かったし、閉め切った感じがあった。
所狭しと野菜がならんでいて、レタスとかカボチャとかイチジクが並んでいた。
みんな、籠を手にさげて、自分の籠に野菜を入れてもらうのを待っている。
あまりに暗いので、もしかしたら人身売買も行われているかもしれない。
たぶん、お兄ちゃんやエセル卿は来ない方がいい。
プー子は、このちょっとアングラな雰囲気に少なからず興奮した。
この人たちは、毎週水曜日、パニエを片手に、
B級映画館の暗い一室に集まって野菜を買ってるんだ!!!
プー子もやりたい!!
そこで早速プー子は、受付のお姉さんに事情を説明して、
来月分の野菜とパンを頼むことにした。
来月の後半はトゥールーズに帰る予定なので、
とりあえず最初の3週間を頼んだ。
野菜は1週間で、12ユーロ。
見たところ、人間の一人暮らしには少し多い量かもしれない。
パンは色々あったけど、一番スタンダードなカンパーニュパンを頼んだ。
このパンは、プー子のために焼かれるわけだ、わくわく。
数々の困難を乗り越えながらも、着実に地元野菜へ近づくプー子たち!
来週の水曜が楽しみ!ドキドキ!
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