なんでもミカちゃんが、ボルドーの県庁だとかに行くのだそうで、
日帰りでボルドーに行くというから、
ボクは、ボルドー名物のお菓子カヌレが食べたくて、着いていくことにした。
カヌレというのは、日本にも最近あるらしいけど、もとはボルドーのお菓子だ。
美味しいカヌレは、外がカリっとして中はもっちりしている。
ボクはちょっと団子に似ているとも思っていて、好きなお菓子の一つだ。
朝8時すぎ、トゥールーズの駅を出る。
10時半、ボルドーに着いた。
電車で2時間半、これもカヌレのため。
まずは用事を済ませようと、県庁に行った。
ところがどっこい。ボクたちは県庁に11時ぐらいに着いたけれども、
すでに受付は終わっていると言われた。
8時半に開門したあと、早ければ9時半には受付が閉め切られるのだそうだ。
だから明日のあさ8時から並んでね、と言われた。
なんてこったい!
明日の朝8時にボルドーに着くためには、今夜はトゥールーズに帰っていられない。
仕方がないので、予定を変更して、ボルドーに一泊することになった。
帰りの電車の切符も替えて、ホテルも取った。
フランスのお役所は、ひどいもんだぜ。
とりあえず色々な手続きを終えたあと、一服の冷やし中華。
ボルドーといえば、ラーメン屋、ふふです。
だけども冷やし中華のあとは、やっぱりカヌレを食べるのだろうと思ったのに
ミカちゃんはカヌレを買ってくれなかった。なんだい、ぷんぷん
最近のフランスは、とっても暑い。
夏だ。
ブルス広場の前には、水が張ってあった。
ボクも水を浴びた。
水を浴びたあとは、カヌレを買ってもらえるかと思ったけど、
やっぱり買ってもらえなかった。なんだい、ぷんぷん
ボルドーの街は、石造りの家が多い。
突然、時計塔。
ちょっと、ラ・ロシェルみたい。
急に一泊することになったので、あんまり用意もなくて、ボクたちは落ちつかなかった。
落ち着くためには、カヌレを食べなければならない。
夕方、ようやくお菓子やさんに連れてってもらったけれども
そのお菓子屋さんには、カヌレはなかった。
仕方なく、フォンダンショコラを食べた。
それから歯ブラシを買った。
暮れゆく、ボルドーの太陽を
ホテルの窓からみる。
ボクたちは、落ち着かない夜を迎えた。
今頃、トゥールーズでは
プー子ちゃんやエセル卿や、ピエールおじさんが、
ボクのことを恋しがって泣いているんじゃなかろうか…
彼らが、まだボクがカヌレを食べていないことを知ったら、なんと言うだろう!
「ああ、かわいそうな、プーちゃん!」
翌朝、7時
トラムを待つボク。
用事は早く終わらせようと思って、7時半に県庁に行った。
ところがどっこい、県庁の門が開く、まだ1時間前だっていうのに、
すでに40人はくだらない人が並んでいた。
ボクは鞄の中で眠った。カヌレの夢を見た。
結局ミカちゃんは10時すぎまで待ったらしい。
よくやるなあ。
それで何がおかしいって、結局ボルドーの県庁に行けといった
トゥールーズの県庁が間違っていたのであって、
ボルドーで手続きはできなくて、
ボクたちはそもそもボルドーに行く必要などなかったのだ。
なんという、ボルドー滞在!
県庁を出て、
ようやくカヌレを食べるボク。
この写真を撮っているとき、
隣のおばさんがボクをみて微笑んでいた。
トラムにのるボク。
この写真を撮っているとき、
若いお兄さんがボクをみて微笑んでいた。
ヴィクとワール広場の亀に乗るボク。
この写真を撮っているとき、
古本市の売り子のおばさんが、ボクをみて微笑んでいた。
ボクは、見る人すべてを幸せにする力がある。
どうだ、参ったか、カメ。
トゥールーズを出る前、魔女先生がボクに、
「プーちゃん、幸いなことに、
ボルドーの街にはボルドー人しかいないわけじゃないわ。
つまり、親切な人もいるってことよ。」
というので、ボクは、ボルドーの人というのはどれほど意地悪かと思って
ひやひやしていたけれども、どうもボクの魅力は
冷たいボルドー人の心もすっかり溶かしてしまうようです。
無駄な2日間を過ごして、ボクたちはボルドーから帰ってきた。
帰る前、ボクたちは昼過ぎの電車に乗ったのだけど、
まだその日一日は有効なトラムの1日券を持っていた。
ミカちゃんが、駅前のトラム乗り場で、
ボクの気に入った人にこの1日券を譲ろうと思う、と言ったので、
ボクはすかさず、若い10代の女の子にあげてくれと言った。
しっかり、赤毛のかわいい女の子にあげた。
とんだボルドー観光でした。
ちゃんちゃん
もっと沢山カヌレが食べられたら
よかったのになあ
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