春は正午過ぎ。
ぬるい空気にかすみがかかって、なんとなく何もかもが白地んで見えるころに
桜の木の下で、重箱に入ったお弁当を広げるのがいい。
濁り酒に花びらが浮かぶのも一興(ボクはお酒は飲まないけれども)。
もう何も食べられないと思ったときでも、花見団子は別腹。
大川に船を浮かべて、あ、ここで会ったが百年目。
このときばかりは、この世にはただ春しかないと信じて疑わない。
夏は昼間。
けだるい暑さに嫌気がさして、窓を閉め切りクーラーをつけ、
お素麺をすする。横には濃い麦茶。
お素麺の上には、錦糸卵にハムとキュウリの細切り。
透き通ったくずもちのぷるぷるした食感と、中のこしあんの冷たさよ。
食べたらお昼寝、竹のござの上に寝て、ほっぺに竹の活版印刷。
絽の着物に紗の帯の組み合わせを考えるだけで、涼しげな気になる。
夕暮れ時には雀の大合唱。
秋は夜。
だんだん過ごしやすくなって、昼間は外に出ていた日の、
家に帰ってきたときに今夜の晩ご飯が栗ごはんと秋刀魚の塩焼きと知ったときの悦び。
秋刀魚の横には酢橘と、まだ辛い大根おろし。
お月見をしながら、土瓶蒸しをすすって、
お月見団子をぽいと食べれば、闇夜にキンモクセイの香りが漂う。
チャイコフスキーの秋の歌に聴きいって、やがて落ちる葉っぱを想うのもよい。
冬は夕方。
真っ暗になったから慌てて家に帰ってきたのに、まだ4時台だったときの、途方もなさ。
ストーヴをたいて、ホットカーペットをつけて、
こたつに入ったところで、相変わらず外は真っ暗。
お腹は空くけど、晩ご飯までまだまだある。
NHKの教育番組を見ながら、肉まんを頬張る。
晩ご飯は鍋。蟹なんて王道もいいが、
石狩鍋とか利休鍋とか、地方色満点の鍋もいい。
そのあとには、こたつの中で食べる
ハーゲンダッツのアイスクリーム!!!
何が云いたいかというと、ボクは、暖房がないかぎり、冬は嫌いなのです。
今日トゥールーズ市内は、初冠雪を記録した。
でもボクのおうちは天井がとても高いので、暖房の効きがそれほどよくない。
ボクは暖かい地べたに座りたい。こたつに入りたい。
こたつのなかで喉の渇きを感じたい。アイスクリームを食べたい。
人間の足跡と、鳥の足跡。
雪は午後には消えた。
それでも一足早い春も来ている。
去年の暮れから水栽培しているヒヤシンスが、咲き始めました。
いい匂いだけれど、水栽培だからか、そんなに強い匂いじゃない。
先日結成したロックバンド、名前が決まらない。
ボクはローリングスプーンズがいいと思うのだけど、
プー子ちゃんは、ハデヘンドリックスがいいと譲らない。
そんなプー族の日々です。