2014-05-10

ボクとロスチャイルド城のコンサート

こんにちは、ボクです。
最近になって、蜂が窓辺に飛んでくるようになった。





よく見ると、壁の穴に入り込んでいる。
巣を作っていちゃあ、困る。

たぶんミツバチだろうけど、
間違って刺されちゃあ、痛い。

蜂は、たびかさなるボクの勧告にも
聞く耳をもたないので、
ボクはワナを置くことにした。
ジャムにつられて蜂が中に入ったら
二度と外に出られない仕組みだ。

ボクは、他人の不幸は蜜の味がモットーなので
早くワナにひっかかってくれないかなあと思っている。

今のところ、全然かからない。




昨日は、ボルドー・四重奏フェスティバルの一環で、
ボクたちはコンサートに行ってきた。

去年、ボルドーで四重奏の大々的なコンクールがあったらしく、
今の時期、その入賞者たちによるコンサートをしているらしい。
ボルドー市内でのコンサートもたくさんあったけど、
ボクたちは、郊外のお城で催されるコンサートに行くことにした。
ラフィット=ロスチャイルド城という、ロスチャイルド家の血をひくワイン城だ。

コンサートは20時だけども、
ちょっと遠いので、ボルドー市内からシャトルバスが出る。
そのシャトルバスは18時出発。晩ご飯をいつ食べるべきか、悩む時間だ。
ボクは、主催者ボルドーカルチャーのお姉さんに、
お城に食べるところはありますか、と訊いた。
「さあ、わからないけど… あっ、でもたぶん食べられると思うわ、
だってワインを作っているお城だもの」といういい加減な答えだったので、
滞仏歴の長いボクは、サンドイッチを持っていくことにした。


当日、18時。バスが全然やってこない。
コンサートに行くとおぼしき人たちが道ばたで、バスを待っていた。
滞仏歴の長いボクは、こんなことでは驚かない。

そしたら、あるおばさんが、
「ロチルド(ロスチャイルドのフランス風発音)に行く人は私に着いて来て!」
と言うので、皆と一緒にぞろぞろついてあるいた。
もはやボクたちは運命共同体。
案内をしてくれるおばさんは、
白髪の彼氏?旦那さん?と一緒にいちゃいちゃしながら歩いていて、
この人は一般人なのか、ガイドなのか、ボクはわからなかったけど、
バスに乗るとき、チケットをもぎっていたから、ガイドだとわかった。
フランス人は、仕事中でもイチャイチャしている。
滞仏歴の長いボクは、こんなことでは驚かない。

バスに乗る人たちは、我先に乗りたいという欲望丸出しで、
前に並んでいる人を追い越したり、横入りしたりするのも、当たり前だ。
フランス人は、大人でも、こういう子供染みたことをする。
滞仏歴の長いボクは、こんなことでは驚かない。
「ボクは虚無僧、ボクは虚無僧」と言い聞かせて、イライラをしずめるのさ。

バスは結局15分遅れで出発した。

バスは、北上して、田舎を走っていった。
ボクは、一面真っ黄色のお花畑とか、放牧されている馬とか鶏を見た。
遅いバスは、ぐんぐん車に抜かれていった。

有名なワインの産地、メドックを通り越したぐらいから
景色がブドウ畑一色になった。
見渡す限り、ブドウ畑。重なる、ブドウの丘、丘、丘。
畑の横に、小さな薔薇の木が植えてあって、
ボクは昔行ったシャンパーニュ地方を思い出した。
たしか、薔薇の木は弱いので、薔薇が病気になるかならないかで
ブドウの正常な成長をはかっている、とかそんなんだったと思う。




遅いバスで1時間15分
ついに、ラフィット=ロスチャイルド城へ。

お城です。

ワイン城だらけのこの地域でも、
ひときわ大きくて立派なお城だった。

ボクたちは、わくわくドキドキ。
お城の中に入れる!…と、思いきや

まず、カーブ(ワイン蔵)に通された。
この写真に写っているのは全部
2013年の樽。新しい樽の樹の匂いが
ワインの匂いに交じって、
とても気持ちよかった。

テイスティングで
おいしいワインを頂いた。




次の部屋は、2011年の樽がたくさん並んでいた。
ちょっとカビ臭かった。

それから、どんどん年代を遡っていって、
どんどんカビ臭くなっていった。


最後に、大きなホールに出た。
なんと、
コンサートはここで行われるらしい。
お城の中に入りたかったのに
なんだい、ワイン蔵でコンサートだ。







プログラムは、ハイドン、ストラヴィンスキー、シューベルトだった。
ハイドンはあまりに行儀が良すぎて、いまいちだった。
ストラヴィンスキーはまあまあ、シューベルトをたくさん練習して来たんだな、と思った。
ボクたちとしては、ハイドンが1番聞きたくて、次にシューベルトだったので、残念だ。
でも大体、プログラムっていうのは、最後の曲が渾身の曲なんだな。

けれども総じて見ると、
ボクは、なんだか音がヴェールに包まれているような気がして、
何も心に響いてこなかった。四重奏ならではの調和はしっかりしていたし、
うまく弾いていたけれども、音の性格があまりはっきりしていなくて、
正直言って、何を聞いているんだかわからなかった。

たぶん、カルテットの実力云々というまえに、
ワイン蔵なんていう湿気の多くて寒いところでやっているから、
いけないんだと思った。
それに円形ホールだから、音が響いてすぐに消えていった。
プー子ちゃんは、途中で寝ていた。
ボクは、お腹が減ったので、眠れなかった。
(ボルドーカルチャーのお姉さん、食べるところなんて、なかったじゃないか!)

遠出自体は楽しかったけど、コンサートは残念でした。
帰りのバスで、サンドイッチを食べた。

ボルドーに帰ってから、もっと四重奏は、素敵なはずだ!と思って、
ボクはプー子ちゃんとエセル卿と、四重楽団を結成することにした。
四重奏の鼻はなんと行ってもヴァイオリンなので、ボクはヴァイオリンを担当したい。
プー子ちゃんに尋ねたら、プー子ちゃんも同じ意見だという。
そこでボクたちは、ヴィオラとチェロをエセル卿におしつけてやってもらって、
ボクたちがヴァイオリンをすることにした。
今は、どちらがファーストヴァイオリンをするかで、プー族会議中です。
きっとボクたちは、すばらしいハーモニーを奏でることだろう。



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