先週末、ボクたちはコンクConquesに行った。
トゥールーズから出発して、エミリーのお母さんとピエールおじさんと一緒に行った。
(※ぶじにボルドーに帰ってきたので、写真を追加する 17月6日)
金曜日の朝、9時にトゥールーズを出て、
まずアルビのトゥールーズ・ロートレック美術館に行った。
コンクへは、がんばれば一日で行けるかもしれないけど、
ゆらり道中も楽しんで、一泊しようというわけだ。
アルビからロデズRodezに向かう途中で、ボクたちはお弁当を食べた。
この辺の家は、石を積み重ねた壁と、ウロコ型の屋根が特徴的だ。
小さな村の教会の横に、樹のテーブルがあったので、そこでボクたちは食べた。
エミリーのお母さんは、この辺の出身らしい。
この辺の土は全部、赤かった。それで昔は、あまりいい穀物が育たなかったそうだ。
それからロデズの街に行って、大聖堂を見学した。
ロデズはアヴェロン地方で一番大きな街で、坂の上にある。
長崎みたいな街で、どこもかしこも急なこう配の坂道だった。
ロデズの大聖堂は120世紀から160世紀にかけて建てられたので、
そのあいだにどんどん建築様式が変わっていって、
最終的にはキマイラみたいになっていた。
金曜日の夜は、アヴェロン地方の田舎にあるChambre d'hôte(民宿)に泊まった。
親切な老夫婦が経営していた、コザッパリした感じの良い民宿だった。
ここのお爺さんは、高槻のおじいちゃんと道場のジョエル先生を足して2で割ったかんじの人だ。古い家具がたくさんあって、古い家だったけど、内側は改装してあって快適だった。
ニワトコの蜜でつくったシロップを井戸の水で割ったのをもらった。
ニワトコは、洋梨とか桃みたいな味がした。
夜は、星がたくさんみえた。
民宿は朝食しかついていないので、ボクたちは、
隣村のEstaingエスタンという村でアヴェロンのおいしい牛肉をたべた。モー。
エスタンは、フランスの美しい村100選に選ばれている。
小川のほとりにお城が建っていて、そのお城を囲むようにして小さな集落がある。
古い民家が残っていて、石畳がきれいだった。
お城は、集落に不釣り合いなほど大きかった。
まるでそこにもうひとつ山があるようだった。
土曜日、朝早くおきて、散歩した。
なだらかな丘がどこまでも続いていて、ヤギやら牛やらの声が聞こえた。
なんでも、このへんの牛は有名な牛だそうだ。
フランス中にいろんな種類の牛がいて、チーズを作っている。
野生の牛は、フランス中探してもいないんだそうだ。
民宿の朝ご飯は、盛りだくさんでおいしかった。
その日の朝に絞ったヤギのミルクで作ったフレッシュチーズが、
お庭の苺と一緒に出てきた。少しかたいヨーグルトみたいだ。
パンはおいしい田舎パンで、ジャムは全部手作りだった。タンポポの蜂蜜もあった。
どれもおいしかった。ボクたちのほかにお客は1組だけで、初老の夫婦だった。
食堂の古くて大きなテーブルを、みんなで囲んで、朝ご飯をたべた。
向かいに座った夫婦の旦那さんのほうが、バターをひとかけら、パンと一緒に食べた。
バターは、ひとかけらといっても、パンと同じぐらいの厚みがあった。
ボクは、びっくりした。よく見ると、おじさんは中島歯科のギョカイ先生に似ていた。
ギョカイ先生夫妻は、あまり話しかけてくれるなという雰囲気だったけれども
エミリーのお母さんは、知らない人とお話をするのが上手で、
結局、ギョカイ先生夫妻は心をひらいて、色々なことを話してくれた。
ギョカイ先生たちは、ブルターニュ地方のカンペールから来たらしい。
ブルターニュ地方はフランス北西部に位置する、バターの名産地だ。
どうりで訛っているし、どうりでバターを食べたわけだ。
ブルターニュ人はバターを塗るのではなくバターを食べると聞いていたけど、
それは本当だった。エミリーのお母さんが、あとで、
ブルターニュ人の食卓には、バターと生クリームが常備されている、と教えてくれた。
ボクは、ブルターニュの人たちのコレステロール値が気になった。
さて、親切な民宿をあとにして、ボクたちは一路コンクConquesへ向かった。
エスタンを通ったので、朝日のエスタンも見た。すがすがしい村だ。
コンクは、エスタンからそう遠くなかった。
山の中にある巡礼の町だ。ロマネスクの大聖堂が有名だ。
ボクたちは、実は、フランスに来たときから、
ロマネスク好きの木村先生にコンクは素晴らしいと教わっていたので、
ずっと行きたかった。だけど交通の便がよくないので、なかなか行けなかった。
今回、エミリーのお母さんが車を出してくれて、よかった。
大聖堂は、ずっしりと重く構えていたけれども、
よくよく見ると、細かい模様があって、
しかもその模様の配置がわりといい加減で、楽しかった。
ボクは、ロマネスクの遊び心を感じた。
ボクたちを迎える準備だったのかな、と思う。
コンクも、フランスの美しい村に選ばれている。
昔からコンクは、サンジャック・コンポステラという巡礼の道の、
重要な中継地だったらしい。今でも巡礼の人たちが沢山いた。
お遍路さんみたいなもんだ。
ゆっくりコンクを堪能したあと、ボクたちはトゥールーズに戻ってきた。
とても発見の多い旅だった。楽しかった。
今回のボクたちの旅程も、何年かしたらプー巡礼の道になるだろう。
2014年5月20日
プー