2014-05-20

ボク、コンクに行く

こんにちは、ボクです。

先週末、ボクたちはコンクConquesに行った。
トゥールーズから出発して、エミリーのお母さんとピエールおじさんと一緒に行った。

みなさんに写真をお見せしたいのだけれども、
カメラから写真を取り込むコード線をボルドーに忘れてきてしまったので
それで、ボクたちはいまトゥールーズにいるので、お見せできないから
文豪のボクが、言葉で巧みに写真をご説明しようと思う。
括弧のなかが、写真の説明です。
(※ぶじにボルドーに帰ってきたので、写真を追加する 17月6日)

金曜日の朝、9時にトゥールーズを出て、
まずアルビのトゥールーズ・ロートレック美術館に行った。
コンクへは、がんばれば一日で行けるかもしれないけど、
ゆらり道中も楽しんで、一泊しようというわけだ。

アルビからロデズRodezに向かう途中で、ボクたちはお弁当を食べた。
この辺の家は、石を積み重ねた壁と、ウロコ型の屋根が特徴的だ。
小さな村の教会の横に、樹のテーブルがあったので、そこでボクたちは食べた。
エミリーのお母さんは、この辺の出身らしい。
この辺の土は全部、赤かった。それで昔は、あまりいい穀物が育たなかったそうだ。













それからロデズの街に行って、大聖堂を見学した。
ロデズはアヴェロン地方で一番大きな街で、坂の上にある。
長崎みたいな街で、どこもかしこも急なこう配の坂道だった。
ロデズの大聖堂は120世紀から160世紀にかけて建てられたので、
そのあいだにどんどん建築様式が変わっていって、
最終的にはキマイラみたいになっていた。


















金曜日の夜は、アヴェロン地方の田舎にあるChambre d'hôte(民宿)に泊まった。
親切な老夫婦が経営していた、コザッパリした感じの良い民宿だった。
ここのお爺さんは、高槻のおじいちゃんと道場のジョエル先生を足して2で割ったかんじの人だ。古い家具がたくさんあって、古い家だったけど、内側は改装してあって快適だった。
ニワトコの蜜でつくったシロップを井戸の水で割ったのをもらった。
ニワトコは、洋梨とか桃みたいな味がした。

夜は、星がたくさんみえた。
民宿は朝食しかついていないので、ボクたちは、
隣村のEstaingエスタンという村でアヴェロンのおいしい牛肉をたべた。モー。
エスタンは、フランスの美しい村100選に選ばれている。
小川のほとりにお城が建っていて、そのお城を囲むようにして小さな集落がある。
古い民家が残っていて、石畳がきれいだった。
お城は、集落に不釣り合いなほど大きかった。
まるでそこにもうひとつ山があるようだった。




土曜日、朝早くおきて、散歩した。
なだらかな丘がどこまでも続いていて、ヤギやら牛やらの声が聞こえた。
なんでも、このへんの牛は有名な牛だそうだ。
フランス中にいろんな種類の牛がいて、チーズを作っている。
野生の牛は、フランス中探してもいないんだそうだ。


民宿の朝ご飯は、盛りだくさんでおいしかった。
その日の朝に絞ったヤギのミルクで作ったフレッシュチーズが、
お庭の苺と一緒に出てきた。少しかたいヨーグルトみたいだ。
パンはおいしい田舎パンで、ジャムは全部手作りだった。タンポポの蜂蜜もあった。
どれもおいしかった。ボクたちのほかにお客は1組だけで、初老の夫婦だった。
食堂の古くて大きなテーブルを、みんなで囲んで、朝ご飯をたべた。
向かいに座った夫婦の旦那さんのほうが、バターをひとかけら、パンと一緒に食べた。
バターは、ひとかけらといっても、パンと同じぐらいの厚みがあった。
ボクは、びっくりした。よく見ると、おじさんは中島歯科のギョカイ先生に似ていた。
ギョカイ先生夫妻は、あまり話しかけてくれるなという雰囲気だったけれども
エミリーのお母さんは、知らない人とお話をするのが上手で、
結局、ギョカイ先生夫妻は心をひらいて、色々なことを話してくれた。
ギョカイ先生たちは、ブルターニュ地方のカンペールから来たらしい。
ブルターニュ地方はフランス北西部に位置する、バターの名産地だ。
どうりで訛っているし、どうりでバターを食べたわけだ。
ブルターニュ人はバターを塗るのではなくバターを食べると聞いていたけど、
それは本当だった。エミリーのお母さんが、あとで、
ブルターニュ人の食卓には、バターと生クリームが常備されている、と教えてくれた。
ボクは、ブルターニュの人たちのコレステロール値が気になった。


さて、親切な民宿をあとにして、ボクたちは一路コンクConquesへ向かった。
エスタンを通ったので、朝日のエスタンも見た。すがすがしい村だ。

















コンクは、エスタンからそう遠くなかった。
山の中にある巡礼の町だ。ロマネスクの大聖堂が有名だ。
ボクたちは、実は、フランスに来たときから、
ロマネスク好きの木村先生にコンクは素晴らしいと教わっていたので、
ずっと行きたかった。だけど交通の便がよくないので、なかなか行けなかった。
今回、エミリーのお母さんが車を出してくれて、よかった。




大聖堂は、ずっしりと重く構えていたけれども、
よくよく見ると、細かい模様があって、
しかもその模様の配置がわりといい加減で、楽しかった。
ボクは、ロマネスクの遊び心を感じた。




ステンドグラスは最近になって張り替えられたらしい。
ボクたちを迎える準備だったのかな、と思う。
コンクも、フランスの美しい村に選ばれている。
ボクは、曹洞宗の僧侶だ。



昔からコンクは、サンジャック・コンポステラという巡礼の道の、
重要な中継地だったらしい。今でも巡礼の人たちが沢山いた。
お遍路さんみたいなもんだ。





ゆっくりコンクを堪能したあと、ボクたちはトゥールーズに戻ってきた。
とても発見の多い旅だった。楽しかった。
今回のボクたちの旅程も、何年かしたらプー巡礼の道になるだろう。
ボクはもう、プー巡礼の道制定書と、近隣の観光事業計画書を書いた。

2014年5月20日
プー

2014-05-10

ボクとロスチャイルド城のコンサート

こんにちは、ボクです。
最近になって、蜂が窓辺に飛んでくるようになった。





よく見ると、壁の穴に入り込んでいる。
巣を作っていちゃあ、困る。

たぶんミツバチだろうけど、
間違って刺されちゃあ、痛い。

蜂は、たびかさなるボクの勧告にも
聞く耳をもたないので、
ボクはワナを置くことにした。
ジャムにつられて蜂が中に入ったら
二度と外に出られない仕組みだ。

ボクは、他人の不幸は蜜の味がモットーなので
早くワナにひっかかってくれないかなあと思っている。

今のところ、全然かからない。




昨日は、ボルドー・四重奏フェスティバルの一環で、
ボクたちはコンサートに行ってきた。

去年、ボルドーで四重奏の大々的なコンクールがあったらしく、
今の時期、その入賞者たちによるコンサートをしているらしい。
ボルドー市内でのコンサートもたくさんあったけど、
ボクたちは、郊外のお城で催されるコンサートに行くことにした。
ラフィット=ロスチャイルド城という、ロスチャイルド家の血をひくワイン城だ。

コンサートは20時だけども、
ちょっと遠いので、ボルドー市内からシャトルバスが出る。
そのシャトルバスは18時出発。晩ご飯をいつ食べるべきか、悩む時間だ。
ボクは、主催者ボルドーカルチャーのお姉さんに、
お城に食べるところはありますか、と訊いた。
「さあ、わからないけど… あっ、でもたぶん食べられると思うわ、
だってワインを作っているお城だもの」といういい加減な答えだったので、
滞仏歴の長いボクは、サンドイッチを持っていくことにした。


当日、18時。バスが全然やってこない。
コンサートに行くとおぼしき人たちが道ばたで、バスを待っていた。
滞仏歴の長いボクは、こんなことでは驚かない。

そしたら、あるおばさんが、
「ロチルド(ロスチャイルドのフランス風発音)に行く人は私に着いて来て!」
と言うので、皆と一緒にぞろぞろついてあるいた。
もはやボクたちは運命共同体。
案内をしてくれるおばさんは、
白髪の彼氏?旦那さん?と一緒にいちゃいちゃしながら歩いていて、
この人は一般人なのか、ガイドなのか、ボクはわからなかったけど、
バスに乗るとき、チケットをもぎっていたから、ガイドだとわかった。
フランス人は、仕事中でもイチャイチャしている。
滞仏歴の長いボクは、こんなことでは驚かない。

バスに乗る人たちは、我先に乗りたいという欲望丸出しで、
前に並んでいる人を追い越したり、横入りしたりするのも、当たり前だ。
フランス人は、大人でも、こういう子供染みたことをする。
滞仏歴の長いボクは、こんなことでは驚かない。
「ボクは虚無僧、ボクは虚無僧」と言い聞かせて、イライラをしずめるのさ。

バスは結局15分遅れで出発した。

バスは、北上して、田舎を走っていった。
ボクは、一面真っ黄色のお花畑とか、放牧されている馬とか鶏を見た。
遅いバスは、ぐんぐん車に抜かれていった。

有名なワインの産地、メドックを通り越したぐらいから
景色がブドウ畑一色になった。
見渡す限り、ブドウ畑。重なる、ブドウの丘、丘、丘。
畑の横に、小さな薔薇の木が植えてあって、
ボクは昔行ったシャンパーニュ地方を思い出した。
たしか、薔薇の木は弱いので、薔薇が病気になるかならないかで
ブドウの正常な成長をはかっている、とかそんなんだったと思う。




遅いバスで1時間15分
ついに、ラフィット=ロスチャイルド城へ。

お城です。

ワイン城だらけのこの地域でも、
ひときわ大きくて立派なお城だった。

ボクたちは、わくわくドキドキ。
お城の中に入れる!…と、思いきや

まず、カーブ(ワイン蔵)に通された。
この写真に写っているのは全部
2013年の樽。新しい樽の樹の匂いが
ワインの匂いに交じって、
とても気持ちよかった。

テイスティングで
おいしいワインを頂いた。




次の部屋は、2011年の樽がたくさん並んでいた。
ちょっとカビ臭かった。

それから、どんどん年代を遡っていって、
どんどんカビ臭くなっていった。


最後に、大きなホールに出た。
なんと、
コンサートはここで行われるらしい。
お城の中に入りたかったのに
なんだい、ワイン蔵でコンサートだ。







プログラムは、ハイドン、ストラヴィンスキー、シューベルトだった。
ハイドンはあまりに行儀が良すぎて、いまいちだった。
ストラヴィンスキーはまあまあ、シューベルトをたくさん練習して来たんだな、と思った。
ボクたちとしては、ハイドンが1番聞きたくて、次にシューベルトだったので、残念だ。
でも大体、プログラムっていうのは、最後の曲が渾身の曲なんだな。

けれども総じて見ると、
ボクは、なんだか音がヴェールに包まれているような気がして、
何も心に響いてこなかった。四重奏ならではの調和はしっかりしていたし、
うまく弾いていたけれども、音の性格があまりはっきりしていなくて、
正直言って、何を聞いているんだかわからなかった。

たぶん、カルテットの実力云々というまえに、
ワイン蔵なんていう湿気の多くて寒いところでやっているから、
いけないんだと思った。
それに円形ホールだから、音が響いてすぐに消えていった。
プー子ちゃんは、途中で寝ていた。
ボクは、お腹が減ったので、眠れなかった。
(ボルドーカルチャーのお姉さん、食べるところなんて、なかったじゃないか!)

遠出自体は楽しかったけど、コンサートは残念でした。
帰りのバスで、サンドイッチを食べた。

ボルドーに帰ってから、もっと四重奏は、素敵なはずだ!と思って、
ボクはプー子ちゃんとエセル卿と、四重楽団を結成することにした。
四重奏の鼻はなんと行ってもヴァイオリンなので、ボクはヴァイオリンを担当したい。
プー子ちゃんに尋ねたら、プー子ちゃんも同じ意見だという。
そこでボクたちは、ヴィオラとチェロをエセル卿におしつけてやってもらって、
ボクたちがヴァイオリンをすることにした。
今は、どちらがファーストヴァイオリンをするかで、プー族会議中です。
きっとボクたちは、すばらしいハーモニーを奏でることだろう。



2014-05-04

ボクとツバメ

ボクです。

今朝、窓のそとを眺めていると、
何羽か知らないけど、せわしなく飛び回っている鳥たちがいた。

いつもの小鳥たちは、大抵行き先の決まっている飛び方をするけど、
今朝の鳥たちは、ぐるぐると同じ一帯を旋回していた。
結構なスピードだった。


この写真の、黒い点です。










ボクはハッとした。

あの飛び方は、ツバメだ!

ツバメがやって来た!

夏がやって来た!






公園のガチョウの子


万緑の中や吾子の歯はえそむる



木の葉に陽の光が当たって
とっても気持ちがいい季節になったのだ。
ボクたちは、初夏、五月が大好きだ。


二十三歳、ボクは五月に生まれた。

2014-05-02

プー子と5月の公園

5月になった。プー子は元気。

プー子たちは、4月の復活祭のバカンスはトゥールーズで過ごしたけど
そのあとミカちゃんの仕事があるとかなんとかで、
またボルドーに戻ってきている。

昨日の5月1日はメーデーで、フランスの祝日。
トラムもバスもなくて、お店もぜーんぶ閉まる日だけど、
ラジオはちゃんと1日のニュースを話していた。
お兄ちゃんは「いつもたくさん働いているから」といってゴロゴロしていた。
プー子は、お兄ちゃんはいつもと同じことをやっているんだと思う。
メーデーのうたい文句は、一日8時間の労働!8時間の余暇!8時間の睡眠!
プー子は、一日8このドーナツ!8このプリン!8切の塩辛!


最近のボルドーは雨ばかり。
それも15分ぐらいの小雨が、1日に何回か降る。
いかにもフランスの4月だ。

このところ、うちの屋根の上に小鳥のメルルがよく止まっているらしくて
頭のうえのすごく近いところから、メルルの歌声が聞こえて、とても気持ちがいい。
といっても屋根まで、3メートル以上あるのだから、
メルルは結構大きな声で歌っているんだ。

窓を開けていても、鳥の歌声がよく聞こえる。
最近は音楽を聴くよりも、鳥の声を聞いていることが多い。


今日、プー子はやってくる初夏をみようと思って、公園に行った。
今はバラのさかり。それに、雨上がりを歩くのは、土の匂いがして、とても気持ちがいい。
曇り空が少し不安定で、プー子も、気持ちいいと思う反面、ちょっとドキドキする
不思議なお天気と不思議な気分。ベルベットイースター!



バラ!
これは鶴腹だったかな。


このバラは、とってもいい匂いだった。
1メートル先から匂っていた。


プー子の好きな、一重のバラ。
1メートルぐらいの低木で、可憐だと思う。

こちらは
葉っぱがツヤツヤしていて
椿みたいだけど、一重のバラ。








これも一重。


うちの近くの公園は、まとまってバラの咲くバラ園はないけれど、
公園中あちこちにバラが咲いていた。





アルストロメリアも見頃だった。









立派なツツジ。



続いて、公園で見つけた小さいものシリーズ。


あれは、ヘビイチゴかな

花の中にいるのは、
玩具じゃないのよ、
コガネムシさんです。


それから、季節先取りシリーズ。

早くもあじさい!
本当に、咲き掛けの、咲き掛けだった。

新緑のもみじと
さわやかプー子

夏にお素麺を食べるときは、
ここまで来て葉っぱをちょっと
採ろうかな。






その他!
公園の中は、お花も綺麗だけど、プー子は樹にもみとれた。



この葉っぱ。まだ芽吹いて間もない色をしていて、今はとってもまぶしい。
すごく嬉しそうで、キラキラした生命のエネルギーに満ちている。
たぶんこの数週間のうちに、ぐんぐん緑が濃くなるんだ。わくわく


この公園は、水辺があるので、
そこに浮かぶ緑色も、とても綺麗だった。

そうそう、子連れの水鳥がたくさんいた。
人間も子連れがいた。
鳥の子どもは、鳥の親のあとを
よちよち歩いていた。
人間の親は、人間の子どものあとに
立って子どもを見ていた。




これは、へんな樹。

枝がぐるぐる絡み合ってる。
性格がよっぽど歪んでいるのかしら。








そしてまた、ツツジ。
そういえば、長岡天神のツツジも、今ちょうど見頃なのかなあ
長岡京のタケノコが食べたい!このブログを読んでいる誰か、送ってください。