セヴラックさんのこと、ボクの家出のこと

こんにちは、
だんだん温かくなってきました
公園の池の氷も、とっても薄いです

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メーヌ・ド・ビランさんというのは、伝説のお菓子職人
デオダ・ド・セヴラックさんというのは、伝説のチョコレート職人

去年の夏、プー子ちゃんが、ビランさんのお城を訪れた。
そして昨日、ミカちゃんが、セヴラックさんのお家を訪れた。
セヴラックさんは、トゥールーズのお近くの出身。
いい香りと懐かしい響きのする
チョコレートを作るというので有名だったそうだ。
それでミカちゃんはセヴラックさんちで、
セヴラックさんのピアノでセヴラックさんの曲を弾いたというのだから
連れていってもらえなかったボクは、大層うらめしい。



なんだかボクも外に出たくなって、
今日、お昼から夕方の予定で、家出をしました。
そういうわけで、ビランさんでもセヴラックさんでもなく
ボクの家出とトゥールーズの街を、少しご紹介します。

まずTerra Nova（寺の場）という読書カフェに行った
本屋さんの奥が喫茶コーナーになっている
家出少年はまずコーヒーを飲むものだと、
マツダ優作も言っていましたから
ハードボイルドなボクも、珈琲を飲もうと思った。
お茶菓子はクランブル

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ところがうっかり、ボクが文豪プーだということがバレてしまった。
日本文学コーナーに置かれる文豪プー
（ふたつ隣は谷崎潤一郎、あしもとには岡倉天心）

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人身売買！あぶないあぶない、
慌てて本屋を出ました
外は夕暮れ
ポンヌフを渡る人々が見えます

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お友達にかくまってもらおうと思って、
陶芸家バジルさんがやっている陶器屋さんにやってきました
バジルさんは陶器もつくるけど、
フルートやサックスを吹くジャズプレーヤアでもあります

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でもここが素晴らしいのは
ボクが売られているからです

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じゃじゃん

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じゃん
（ボジョレヌーヴォーならぬ、Bol joli nouveau＝新しい綺麗なボウル到着）

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ナイジェリア出身のお友達もできた

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また売られている！
そしてこの後、毛皮のたっぷりついたコオトを着たマダムが
ボクのことを買っていくのだけれど
それはまた次のお楽しみ。

ボク、生活の自由を奪われたようにお感じになる

寒いです
今朝ついにガロンヌ河が凍った
これは1985年以来のことらしい
凍る前の、年末のガロンヌ（奥にはピレネー山脈）

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こんなに大きな河が凍るなんて…

ボクたちがいつも野菜を買っているのは
近くの広場に出る野外マルシェ
その広場は日陰なのでいまでも雪が残っています
この溶けない雪が寒さの原因
おかげでもう２週間ぐらいマルシェがありません
リンゴ屋のお姉さんも
野菜やのおばちゃんも
しばらく会っていない
お肉を買うマルシェは屋根付きだから大丈夫
だけど雪の日にお買い物をするのは辛い
（…らしいです、
ボクはもちろん家から一歩も出ません
雪国の人たちは、どうしているんだろう
冬眠をするんだろうか　それとも
プー子ちゃんのように、発泡スチロールだと
思い込むんだろうか）

仕方がないのでミカちゃんがスーパーで野菜を買ってきたけど
久しぶりに食べる　スーパーの野菜はおいしくありません
びっくりした

ハチミツも、くるみも、
いつも屋外のマルシェで買っているので
なくなって困っています
ボクたちの最近のお気に入りは
ゼンリューフンのパンを軽く焼いた上に
温めたヤギのチーズとくるみを乗せて
ハチミツをかける
その名も
プー　デラックス　シェーヴル・ミエル
これが食べられないので　ボクは悲しい
チーズの塩気とハチミツの甘味がたまりません

こういう、なくてもすぐに困るわけじゃないけれど
ないとなんとなく不便なものが
なくなってきて、ボクは俄に
生活の自由を奪われたように感じはじめておられる
スーパーの野菜はもう食べたくないよう

ああ　早く　雪が溶けてくれないかなあ
桜餅が降ってきてくれないかなあ
ベランダに置いてあるクロッカスが可哀想です

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プー子と雪

春が近づいたと思ったのに、
先週からフランスはものすごい寒気に襲われている
トゥールーズでも氷点下の毎日
それもマイナス１２度とか言われている

凍る噴水

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凍る天使

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日曜は、吹雪いていた

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静かな静かな、トゥールーズの冬
なぜか除雪車も通らないからとっても静か
雪は音を吸うのかしらん
その分、雪色はとても明るい
白くて、明るい、静かな午後

あまりに贅沢な静けさなので
音楽もなにもかけず
静けさを聴いていた

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トゥールーズの初雪は数日前だったけど
プー子が起きてくる時間まで雪が残っていたのは
日曜日が初めて。そういうわけで
初雪の茶会をした
茶人プー族

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「静けさや　隣はなにをするひとぞ」byお兄ちゃん
「雪つもる　世界のとまった昼下がり」 byプー子


土曜日にはエミリーから植木鉢をもらった
エミリーのおうちは、植物がいっぱいです

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「遠方より朋来る、亦楽しからずや
桜餅を食べて時に草餅を食べる。亦よろこばしからずや！」