ボクたちは、約10日間のトゥッサンのバカンスをトゥールーズで過ごした。
ボルドーに帰ってきたら、鳥の餌がもうなくなっていた。
さっそく補充したのだけれども、一体いつから餌がない状態が続いていたんだろう…
小鳥たちが戻ってきてくれるか、ボクはご心配だった。
バカンスが終わって1週間たった。
いまのところ、シジュウカラが2羽戻ってきた。
姿をちゃんと見たわけではないけど、たぶん、ロビンも来ている気がする。
だけど、一番最初にやってきてくれたアオガラが戻ってこない。
ボクは、ご心配だ…
アオガラちゃん、餌を補充したから帰ってきておくれ、って
ノロシをたてようかと思っている。
ボルドーの街は、すっかりクリスマスの支度にかかっている。
クリスマスのマルシェの丸太小屋も準備されている。
色づく街路樹。
カンコンスの並木も
だいぶ黄色い。
立冬もすぎたけれど、昨日、本当に冬がやってきたんだと思うことがあった。
昨日、ボクは
家の近くの公園を散歩していた。
木々は、すっかり秋色だった。
ここの公園は、川が流れていて、
落ち着いて、気持ちいい。
ちょっとニューヨークのセントラルパークみたいだ。
水鳥も多い。
これは、頭にこぶのあるガチョウ。
そしたら、ある樹に差し掛かったところで、
ものすごい音が聞こえてきた。
大量の鳥が、その樹のてっぺんらへんに集まって、会議していたのだ。
この樹の上にくっついてる
黒いものは、全部鳥です。
何の鳥かなあ、
たぶんムクドリの一種だと思うのだけど。
異常なくらい、けたたましかった。
アパートに帰ってきて、窓から公園のほうを見たら、さらに鳥の数が増えていた。
そういえば今日は朝から鳥がたくさん飛んでいたなあと思った。
プー子ちゃんが翻訳してくれたところによると、
南へ渡る段取りをつけているらしい。
なるほど渡り鳥の会議だったのだ。
それでうるさかったし、たぶん鬼気迫った感じがあったのも、
これから長い旅へと向けた鳥たちの気合のせいなんだと思う。
そうして見ていると、
どんどん雲行きがあやしくなって、
スコールみたいな通り雨が降った。
風も強かった。
ところが鳥たちは、風に吹かれて
雨にうたれながら、相変わらず
樹の高い位置にしがみついていた。
ボクは、鳥たちの気合を感じた。
それと同時に、ああ、本気で行ってしまうんだなあと思った。
通り雨が過ぎて、夕闇が届く前に、
鳥たちはいっせいに飛び立っていった。
鳥たちは、ボクも一緒に来るかと訊いたけれど、
ボクは、もぐらと結婚するわけでもないし、
ボルドーのアパートは暖房もしっかりついているので、
丁重にお断りした。
翌朝起きたら、空は、いつも通り、静かだった。
あの鳥たちは、今頃どこらへんを飛んでいるんだろう。
これで冬が本格的に到来するな、とボクはお思いになった。
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今年は、ボクとプー子ちゃんとエセル卿で、
チャイコフスキーの秋の歌を弦楽三重奏で練習しようと思っている。
ボクは、この曲がとてもお好きだ。秋がやってくると必ず聴きたくなる。
現在の問題は、エセル卿が小さすぎてチェロに届かないことだ。
だけどボクはバイオリンを譲るつもりはないし、
プー子ちゃんに至っては、ギターがいいと言っている。