ちょっと前にボクたちは引越した。新しい部屋は植物園のちかくで、古いとか寒いとかあるけど、でも居心地はわるくない。そしてひろい。前の部屋は、ボクが四隅をとおって一周するのに走って15分ぐらいかかったけど、今度の部屋はボクが手をつないで並んで30000人分ぐらいで一周。それに廊下がついてるし、中庭もあって、プーズガーデンアネックスはどんどん盛大になってゆく。
でもまあそんなことは置いといて、とりあえずバルセロナで何がおこったかを書く。
バルセロナは実に晴れていた。道はおっきくて、ひょろながいプラタナスの樹が延々とつづいていた。ゴシック地区とか地中海沿いとか、観光めいたところはほんの少しで、あとはのんびりした穏やかな街だと思う。
ボクはおのぼりさんなので、とりあえず目抜き通りに行った。お店や大道芸人が沢山いて、お祭りみたいな通りだった。
ちょいと曲がって大聖堂に行った。ら、ボクを待ち構えるファンの団体に遭遇!そんな、全員にサインしてる暇はないよ!!迫り来るファン、逃げ出すボク!「先生、待ってください!」
ゴシック地区を逃げるボク。
息をひそめるボク。(しばらくこの美術館で寝泊まりした)
見つかりそうになったので、また逃げるボク。「ボクは豆餅じゃありません!!食べてもおいしくないよ!!」
ふぅ 地下鉄のプー。だんごが食べたい。
道をわたるのも一苦労。「今よ、お兄ちゃん!さあ走って!」プー子ちゃんがかくまってくれる。豆餅は大変だ。
は!ここは桜田ファミリア!襲いかかる刺客をひらりと交わす牛若ボク。ええい、返り討ちにしてくれるわ(桜田門外の変)
ボクが逃げた道はあとでバルセロナ百選になって、今は二階建てバスも走るぐらいの人気観光ルートになっているらしい。ホップステップでボクが逃げながら描いた絵は、ゴシック地区のピカソ美術館に寄贈したし、浜辺でつくった砂の家は今では市中に移されてカーサミラと呼ばれている。メトロではボクのマネをしてだんごを食べる人が続出。
ついには映画化決定。主演はグレゴリー・ペックでどうですかと言われたけど、でもそれだとあまりにストレートなので、ボクは主人公の性別を入れ替えて、主役はオードリー・ヘプバーンにして、街もローマにしたら面白かろうと思う。
「私は豆餅じゃないのよ!」byオードリー
ボクが逃げているあいだ、プー子ちゃんはちゃっかり観光していた。